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Claudeでチェックリストを作る手順:契約前の確認を漏らさない

Claudeでチェックリストを作る手順:契約前の確認を漏らさない

この記事の要点

Claudeでチェックリストを作るときは、契約書の案文と自社の規程を読ませ、確認すべき箇所を誰が見ても同じ結論になる項目文に変えさせます。業務委託契約の締結前を例に、プロンプト、印の付け方、20項目への絞り方、スプレッドシートと紙への落とし方を解説します。

結論

Claudeに契約前のチェックリストを頼むときは、確認の観点を挙げさせるだけで止めず、契約書の案文と自社の規程を読ませたうえで、項目文まで具体化させます。誰が見ても同じ結論になる文に直させ、最上位の印を5つ以内に絞れば、20項目前後の実用的な表になります。どの条件なら締結してよいかの線引きは、法務部門と決裁者が判断します。

次のプロンプトは、契約の種類と自社の立場を差し替えればそのまま使えます。

契約を締結する前の社内確認チェックリストを作ってください。

【契約の種類】業務委託契約。当社が委託する側
【委託する業務】自社サイトの運用保守。月額で1年契約、自動更新の予定
【使う人】事業部門の担当者。契約実務の経験は浅い
【区切り】相手方を選ぶ段階 / 条件を交渉する段階 / 締結の直前 / 締結後の管理

【書き方のルール】
・1項目で確認するのは1点だけにする。2点を1行に詰めない
・「確認する」で終わらせず、どの書類のどこを見て、
  どうなっていれば完了かを書く
・事業部門だけで判断できない項目には、法務と経理のどちらに相談するかを添える
・法令や業界の基準に関わる項目は、断定せず、
  所管の公式情報と自社規程で確認する旨を項目文に入れる
・私が伝えていない金額、期間、社内規程の名称を事実のように書かない
・全体で25項目以内

法令に触れる条件を外さないでください。外すと「下請法上、支払は60日以内」といった断定がそのまま項目文に入ります。適用されるかどうかは取引の内容と当事者の規模で変わるため、項目には確認先を書かせ、判断は所管の公式情報と自社の規程に委ねます。

契約前の確認で、Claudeに任せてよい範囲

任せる範囲を決めずに使うと、法的な判断まで書かせてしまいます。線はここで引きます。

任せてよい作業人が決めること
契約書の条項を読み、確認すべき箇所を並べるどの条項を受け入れるか
曖昧な確認の観点を、判断できる項目文に直す判断の基準をどこに置くか
自社の規程と案文を突き合わせ、差分を指摘する差分を許容するかどうか
過去の指摘を踏まえて、抜けやすい観点を挙げる今回その観点を見るかどうか
項目を区切りごとに整理し、表の形にまとめる誰がいつチェックするか

右の列は、自社の事情と法的な判断が絡む部分です。相手方との力関係も取引実績も社内の決裁ラインもClaudeは知らないため、線引きまで書かせると、もっともらしい基準が入った表が独り歩きします。

Claudeでチェックリストを作る手順

ステップ1 自社の立場と契約の型を決める

同じ業務委託でも、委託する側と受託する側では見る箇所が逆になります。委託する側なら再委託の範囲と成果物の権利、受託する側なら検収の条件と支払の期日に重みが移ります。立場を書かずに頼むと、両方の観点が混ざった読みにくい表になります。継続的な取引か一度きりの発注か、自動更新があるかどうかも先に書き添えてください。

ステップ2 初稿を出し、区切りの粒度だけを見る

結論のプロンプトをそのまま使います。返ってきた25項目は、文の細かさではなく、区切りの配分を見ます。条件交渉の欄だけが12項目あり、締結後の管理が2項目という初稿がよく出ます。自動更新の契約では、更新の意思表示をいつまでに出すかという1項目を落とすだけで、意図しない1年が始まります。締結後の欄が薄いまま進めないでください。

ステップ3 結論がぶれない項目文に直させる

初稿の項目を、次のルールで書き直してください。

・各項目を「どの書類のどこを見て」「どうなっていれば完了か」の形にする
・「適切に」「妥当な」「必要に応じて」「問題がないこと」は使わない。
  使いたくなったら、何と何を比べるのかを書くか、判断する人の役割を入れる
・条項に関わる項目は、条番号の欄を空けて「要記入」と書く。推測で条番号を書かない
・1項目が2つの確認に分かれているものは、2項目に分ける
・事業部門だけで判断できない項目は、文末に「法務確認」「経理確認」のどちらかを付ける
・法令や業界の基準を根拠にする項目は、基準の内容を断定せず、
  所管の公式情報と自社規程で確認する旨を書く

「問題がないこと」を禁止語に入れているのは、契約のチェックリストで最も使われる逃げ道だからです。「損害賠償条項に問題がないこと」では、読む人によって結論が変わります。「損害賠償の上限額が、自社の規程で定める範囲に収まっているかを法務と確認した」まで書けば、確認したかどうかが事実として残ります。

ステップ4 締結後に直せない項目へ印を付ける

各項目に、次の基準で印を付けてください。

★★ 締結後には直せない、または直すのに相手方の同意が必要になる
★  締結後でも運用や覚書で調整できる
印なし 社内の手続きの範囲で後から対応できる

【条件】
・★★は5項目以内に絞る。多いときは、直すときの負担が大きい順に5つだけ残す
・★★を付けた理由を、後から直そうとすると何が起きるかで1行書く
・私の説明だけでは判断できない項目は、印を付けずに質問として返す

締結後に直せるかどうかを基準にすると、印の付き方が実務に合います。契約は署名した時点で条件が固定され、あとから変えるには相手方の同意と覚書が要ります。返ってきた質問には自分で答えてください。

ステップ5 項目を絞ってから運用に載せる

25項目の初稿はそのまま配らず、後の見出しの基準で絞ります。

条件の違いを一覧で見比べる作業は、Claudeで比較表を作る手順の進め方と組み合わせると、相手方ごとの条件差と確認項目が同じ表の上でつながります。

具体例1:契約書の案文を読ませて、確認すべき箇所を項目に変える

一般的な観点だけで作ったチェックリストは、目の前の案文には合いません。Claudeは長い文書をまとめて読み込めるので、案文そのものを材料にしたほうが精度が上がります。

相手方の社名や金額が入ったままの案文を渡してよいかは社内ルール次第です。判断がつかないときは、社名を甲乙のまま残し、金額と個人名を伏せた版を用意してください。条項の構成と文言が残っていれば、確認項目を作る材料としては足ります。

読み込ませたのは、相手方から提示された業務委託契約の案文です。
金額と個人名は伏せてありますが、条項の構成と文言は提示されたままです。

当社は委託する側です。この案文から次を出してください。

1. 当社にとって確認が必要な条項と、その理由を1行ずつ
2. 一般的な業務委託契約で置かれることが多いのに、この案文にない条項
3. 文言が複数の読み方をできる箇所と、どう読めるかの違い
4. 上の1から3を、締結前チェックリストの項目文に変えたもの

【条件】
・条番号は案文に書かれているものだけを引用する
・法令や基準を根拠にする箇所は、内容を断定せず、
  法務部門と所管の公式情報で確認する旨を添える
・案文に書かれていない条件を、あるかのように書かない
・断定できない箇所は、推測であることを明記する

3番の指摘が実務で効きます。「乙は、委託業務の遂行に必要な範囲で第三者に再委託することができる」という一文は、必要な範囲を誰が決めるのかで意味が変わります。読み方の違いが出た箇所は、そのまま交渉の論点になり、チェックリストでは「再委託の可否と事前承諾の要否が、条文上ひととおりの読み方に定まっているかを法務と確認した」という項目になります。

2番の抜けている条項は、そのまま信じないでください。指摘は法務に持ち込む材料として扱い、入れるかどうかは法務が決めます。

具体例2:プロジェクトに自社の規程と過去の指摘を入れて、社内基準に合わせる

契約のチェックリストで本当に役立つのは、自社が過去に指摘された箇所を項目にしたものです。他社の一般論ではなく、自社の法務が毎回見ている観点が入っていると、差し戻しが減ります。

Claudeにはプロジェクトという入れ物があり、そこに資料を登録しておくと、以降の会話でその内容を踏まえた回答が返ります。契約のように何度も同じ前提で作業する仕事では、案件ごとの会話ではなく、契約審査用のプロジェクトを作って共通資料を置くほうが向いています。プランや時期によって使える機能が異なるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。

置くのは社外に出せない資料になるため、登録してよい範囲は情報システム部門と法務部門の判断に従ってください。置ける場合の中身は、自社の契約審査の手引き、過去1年の法務からの差し戻し理由、標準のひな型、決裁基準の4点です。

このプロジェクトには、当社の契約審査の手引きと、
過去1年で法務から差し戻された理由の一覧が入っています。

事業部門が使う締結前チェックリストを、次の方針で作り直してください。

1. 差し戻し理由の一覧から、繰り返し指摘されている観点を抽出する
2. その観点が、今のチェックリストで拾えているかを1つずつ判定する
3. 拾えていない観点を、項目文の形で追加する
4. 追加した項目には、どの差し戻し理由に対応するかを併記する

【条件】
・手引きに書かれていない社内基準を、あるかのように書かない
・判定できない観点は、判定せずに質問として返す
・追加した結果25項目を超える場合は、どれを外すかの案も出す

繰り返し指摘されている観点が、そのまま自社の弱点です。どこに集中しているかは差し戻し理由の一覧を見れば分かります。そこを事業部門が交渉前に押さえられれば、法務への差し戻しは減ります。

長い表を会話の中で何度も直すと読みにくくなります。Claudeには成果物を別画面に出す機能があり、チェックリストの本体を横に残したまま項目ごとの修正を進められます。完成したものはそのまま書き出して、社内で共有する版にできます。

項目が多すぎて使われないときの絞り方

契約のチェックリストは、事故が起きるたびに項目が足されて増えます。3年後には50項目の表を誰も開かなくなります。

事業部門が使う版は20項目が上限です。契約書を読みながら見る表なので、確認に30分以上かかると、締切が迫った案件では飛ばされます。絞るときは、法務が必ず見る項目を事業部門の表から外すのが最も効きます。

このチェックリストを、事業部門が使う20項目まで絞ってください。

【外す基準】
・法務部門が契約審査で必ず見る項目は、事業部門の表から外す
・標準のひな型を使う場合に必ず満たされる項目は外す
・締結後に社内の手続きだけで対応できる項目は、別表に移す

【条件】
・残した20項目と、外した項目を分けて出す
・外した項目には、どの基準で外したかと、代わりに誰が見るかを書く
・外したことで、どこからも見られなくなる観点が1つでもあれば、それだけを指摘する

最後の条件を入れないと、絞った結果として誰も見ない観点が生まれます。事業部門が外し、法務も見ていない項目が残ると、絞る前より危険な状態になります。

職種ごとの確認項目の考え方は、法務の業務チェックリストをAIで作る方法と購買・調達の業務チェックリストをAIで作る方法にまとめています。

運用して見落としが出たときの直し方

契約で見落としが出たとき、その論点を項目として足すのは最後にしてください。先に、その項目がリストにあったか、あったのに飛ばされたのか、チェックが入っていたのに見落としたのかを分けます。最後の場合は、文が曖昧で確認したつもりになれる書き方だったということです。

このチェックリストを使って締結した契約で、次の見落としが起きました。

【起きたこと】自動更新の契約で、更新拒絶の通知期限を過ぎ、意図せず1年延長された
【そのときのリストの状態】「契約期間と更新条件を確認する」という項目があり、
チェックが入っていた
【担当者の説明】締結時に条文を読み、自動更新であることは認識していた。
期限をいつ誰が管理するかは決めていなかった

以上をもとに、次を出してください。

1. この項目文が、読むだけで済ませられる書き方になっていた理由
2. 記録が残る形に直した項目文
3. 期限の管理が絡む他の項目のうち、同じ状態にあるもの
4. 項目を足さずに直せるかどうかの結論

20項目の枠は変えずに答えてください。

読んで認識するだけで終わる項目は、この失敗を繰り返します。「自動更新の場合、更新拒絶の通知期限をカレンダーに登録し、担当者名を表に記入した」まで書けば、記録が残ります。3番で同じ弱点を持つ項目を出させると、期限の管理が絡む項目がまとめて直せます。

スプレッドシートや紙に配るときの整え方

配る形を指定してから出力させると、貼り付けてから整え直す手間がなくなります。

ExcelやGoogleスプレッドシートで管理するなら、区切り、番号、確認項目、確認する書類、完了の判断、確認先、印、確認者、確認日の9列で足ります。「この内容を、列が 区切り / 番号 / 確認項目 / 確認する書類 / 完了の判断 / 確認先 / 印 / 確認者 / 確認日 の表で出してください」と指定すれば、そのまま貼り付けられます。確認者と確認日の列は省かないでください。後から経緯をたどるときの手がかりになります。

決裁の書類に添えて紙で回すなら、A4を1枚に収め、印は行の左端、確認者の押印欄は右端に置きます。「決裁添付用として、A4用紙1枚に収まるよう各項目を40字以内に縮めてください。縮めた結果、判断が曖昧になる項目があれば指摘してください」と頼むと、縮めすぎた箇所を教えてくれます。詳しい基準は裏面か手引きに逃がし、表面は項目と印だけにします。

同じ作業を他のツールで進める手順は、ChatGPTでチェックリストを作る手順にまとめています。

想定どおりに出ないときの直し方

法令の条件が断定で書かれる。 書き方の条件を入れていても、会話が長くなると効かなくなります。表にまとめさせる直前に同じ条件をもう一度書き添え、出力後は法令に触れた項目だけを拾って法務に見てもらってください。

項目が法務向けで、事業部門には判断できない。 「この表を使うのは、契約実務の経験がない事業部門の担当者です。その人が自分で判断できる粒度に書き直してください」と読み手を指定し直します。

法務と人が確認してから運用に載せる

Claudeが出したチェックリストは、社内の誰の承認も得ていない下書きです。運用に載せる前に2つを踏みます。

法務部門に、項目と印を見てもらいます。★★が付いた項目が自社の判断と合っているか、事業部門に任せてよい範囲はどこまでかを、ここで決めます。法令や業界の基準に触れた項目は、所管の公式情報と自社の規程に照らして法務が判断します。

事業部門の担当者に、実際の案件で一度使ってもらいます。「この確認を、目の前の契約書でどうやって済ませますか」と聞くと、見るべき書類が手元にない項目や、判断できない文がその場で出ます。1件使って直してから、正式な版にしてください。

まとめ

来月に締結が見込まれる契約を1件選び、自社の立場と契約の型を書き出すところから始めてください。結論のプロンプトで初稿を出し、案文を読ませて条項に即した項目に変え、締結後に直せるかどうかで印を付け、事業部門用の20項目に絞ります。絞って誰も見なくなる観点がないかを確かめ、法務に一度通してから運用に載せます。契約審査用のプロジェクトに共通版を置いておくと、次の契約では種類ごとの差分を足すだけで済みます。

よくある質問

Claudeが作った契約前チェックリストをそのまま使えますか

使えません。Claudeは自社の規程も過去の取引経緯も知らないまま一般的な観点を並べるため、実際には不要な項目や、逆に自社で必ず見ている観点の抜けが出ます。法令や業界の基準に関わる項目は所管の公式情報と自社の規程で確認し、最終的な判断は法務部門や顧問弁護士に仰いでください。

契約書の案文をClaudeに読ませても大丈夫ですか

自社の生成AI利用ルールに従ってください。判断がつかないときは、相手方の社名や金額、個人名を伏せた版を用意すれば、条項の構成から確認項目を作る用途には足ります。入力してよい範囲は法務部門と情報システム部門に先に確認するのが確実です。

契約の種類ごとにチェックリストを作り分けるべきですか

共通の土台を1つ持ち、契約の種類ごとに追加の項目を足す形が管理しやすくなります。業務委託、売買、秘密保持で共通する確認は10項目ほどで、残りが種類ごとの差分になります。Claudeのプロジェクトに共通版を置き、種類ごとの追加分だけを出させる進め方が向いています。