Claudeで文章の書式を整える手順:規程や手順書の見出しを整理
この記事の要点
Claudeに規程や手順書を丸ごと読み込ませ、「条文の文言は変えず、見出し階層と番号だけ直す」と範囲を限定して頼むと、改定を重ねて崩れた長文の体裁を整理できます。プロンプト例、番号の対応表による差分確認、Wordへ戻すときの対処を解説します。
結論
Claudeで規程や手順書の書式を整えるときは、文書を丸ごと読み込ませたうえで、作業を「構成の点検」と「整形」の2回に分けます。1回目で見出し階層と番号の乱れを一覧にさせ、直す方針を人が決めてから、2回目で「条文の文言は助詞ひとつ変えず、見出しと番号とインデントだけ直す」と範囲を限定して整形させます。整形後は旧番号と新番号の対応表、条ごとの文字数の比較を出させ、文字数が変わった箇所だけを原文と見比べれば、長文でも確認は現実的な時間で終わります。
規程や手順書の書式は、なぜ崩れていくのですか
就業規則、経費精算規程、業務手順書のような文書は、一度に書かれるのではなく、改定のたびに少しずつ書き足されます。その結果、次のような乱れが積み重なります。
- 第8条と第9条の間に後から条を挟み、「第8条の2」と「第8条の二」が混在している
- 章によって、項の番号が丸数字だったり、アラビア数字だったりする
- 手順書の前半は番号付きの手順なのに、後から足した後半は文章で書かれている
- 見出しの階層が場所によって3段だったり5段だったりする
- 「別表1」「別表第1」「別紙1」が同じものを指している
手で直そうとすると、30ページほどの文書でも半日がかりになることがあります。しかも条番号を振り直すと、「第12条に定める」といった文書内の参照がずれ、直し漏れが規程の誤りとして残ります。
Claudeは長い文書を一度に読み込めるため、文書全体を見渡したうえで乱れを拾い、番号の振り直しと参照の修正をまとめて扱えます。部分ごとに貼り付けて整形する方法では、この文書全体の整合を見る作業ができません。
Claudeに頼む前に、直す範囲を3段階で決める
規程の整形は、どこまで触るかで危険度が変わります。依頼の前に、今回はどの段階までやるかを決めてください。
| 段階 | 直す対象 | 文言への影響 | 必要な手続き |
|---|---|---|---|
| 1 | インデント、改行、全角と半角、見出しの記号 | なし | 担当部署の確認で足りる場合が多い |
| 2 | 項や号の番号の種類の統一、見出し階層の統一 | 番号の表記が変わる | 文書管理のルールに沿って確認する |
| 3 | 条番号の振り直し、別表の呼び名の統一 | 文書内の参照と、他の規程からの参照が変わる | 規程の改定手続きが必要になる場合がある |
段階3は、見た目は書式の話でも、実質は規程の改定です。他の規程や契約書、申請フォームが「経費精算規程第15条」のように番号で参照していると、振り直しによって参照先が変わります。社内の改定手続きが必要かどうかは、法務や総務の担当者に確認してから進めてください。迷うなら段階2までにとどめ、枝番号は残します。
Claudeで文章の書式を整える手順
ステップ1:文書を丸ごと渡す
Wordファイルやテキストファイルを添付するか、本文を貼り付けます。規程や手順書は、章を分けずに全体を渡してください。参照のずれや階層の不統一は、全体を見ないと拾えません。
公開前の規程案、個人名が入った手順書、取引先との契約条件を含む文書などを入力してよいかは、勤務先のAI利用ルールに従います。社内規程そのものが社外秘に指定されている会社もあります。
ステップ2:整形させる前に、構成の点検だけを頼む
いきなり整形を頼まず、現状の乱れを報告させます。
添付の文書は社内の経費精算規程です。書式を整える前に、現状の構成を点検してください。
この段階では文書を書き換えず、報告だけをお願いします。
【報告してほしいこと】
1. 章、条、項、号の番号の付け方が統一されていない箇所。該当箇所の番号と現状の表記を挙げる
2. 見出しの階層が他の章と異なっている箇所
3. 条番号の欠番、重複、枝番号の一覧
4. 「第○条に定める」「別表○」のように、文書内の他の箇所を参照している記述の一覧。参照先が実在するかもあわせて確認する
5. 同じものを指していると思われるのに、呼び名が統一されていない語
それぞれ表にまとめ、あなたの推測が含まれる項目には「推測」と明記してください。
この報告を読んで、人が方針を決めます。「項の番号はアラビア数字にそろえる」「枝番号は残す」「別表の呼び名は別表第1の形にそろえる」といった具合です。ここを人が決めずに整形へ進むと、Claudeが自分の判断で方針を選び、その選択が出力のどこにも書かれないまま文書が変わります。
ステップ3:範囲を限定して整形を頼む
方針が決まったら、同じチャットで整形を頼みます。
点検結果をふまえ、次の方針で書式を整えてください。
【変更してよいもの】
- 項の番号をアラビア数字に、号の番号を丸括弧付きの漢数字に統一する
- 見出しの階層を「章、条、項、号」の4段に統一する
- インデントと改行を階層に合わせてそろえる
- 「別表1」「別紙1」を「別表第1」の表記に統一する
- 数字と英字を半角にする
【変更してはいけないもの】
- 条文の文言。助詞ひとつ、句読点ひとつ変えない
- 条番号。枝番号もそのまま残す
- 条や項の並び順
- 「しなければならない」「することができる」「するものとする」などの文末表現
文言に誤字や不自然な箇所を見つけても直さず、出力の後に「気づいた点」として列挙してください。
出力は第1章から順に、章ごとに区切って出してください。私が「次」と入力したら次の章へ進みます。
章ごとに区切らせるのは、長い出力が途中で切れたり、後半が省略されたりするのを避けるためです。読み込みは一度にできても、出力は分けたほうが確実です。
規程の文末表現は、義務なのか、権利なのか、運用の目安なのかを区別しています。Claudeが文章のリズムを整えるつもりで「するものとする」を「します」に直すと、規程の意味が変わります。変更してはいけないものの欄に、文末表現を名指しで書いておく理由はここにあります。
ステップ4:対応表と文字数で差分を確認する
全章の出力が終わったら、確認用の資料を出させます。
整形前と整形後を比べ、次の2つの表を作ってください。
【表1 番号と呼び名の対応表】
整形前の表記|整形後の表記|該当箇所
番号の種類を変えた箇所、別表の呼び名を変えた箇所をすべて載せる。
【表2 条ごとの文字数の比較】
条番号|整形前の文字数|整形後の文字数|差
文字数は、空白と改行と番号の記号を除いて数える。
表2で差がゼロでない条については、どの文字が増減したのかを条ごとに説明してください。
表2の差がゼロでない条だけを、原文と並べて見比べます。条が50ほどある規程でも、うまくいっていれば差が出るのは番号の表記を変えた数条だけです。差が説明のつかない条があれば、そこで文言が書き換わっています。
Claudeが数える文字数は正確とは限らないため、この表は見るべき場所を絞り込むための道具と考えてください。最終の確認は、整形前と整形後をそれぞれWordファイルにし、校閲タブの文書の比較機能にかけます。差として表示されるのが番号とインデントだけになっていれば、文言は保たれています。規程のように一字の違いが意味を持つ文書では、この機械的な比較を省かないでください。
ステップ5:Wordへ戻し、担当者の確認を受ける
整形結果をWordへ戻す方法は、番号の扱いに癖があるため後の章で説明します。戻した文書は、規程を所管する部署の担当者に比較結果とあわせて渡し、確認を受けてから差し替えます。
具体例1:改定を重ねた経費精算規程の番号と階層をそろえる
全6章、48条の経費精算規程を例にします。10年のあいだに7回改定され、第3章だけ項の番号が丸数字、第5章には「第31条の2」と「第31条の三」が並び、別表の呼び名が3種類あります。
ステップ2の点検を頼むと、Claudeは乱れを表にまとめて返します。この例で役に立つのは、参照の一覧です。「第22条第3項に定める上限額」という記述があるのに、第22条には項が2つしかない、といった参照切れが見つかることがあります。これは書式の問題ではなく、過去の改定での直し漏れです。整形の作業からは切り離し、所管部署へ報告する事項として別に記録します。
方針を「項はアラビア数字、枝番号はアラビア数字で残す、別表は別表第1の形」と決めてステップ3を実行すると、対応表はたとえば次のようになります。
| 整形前の表記 | 整形後の表記 | 該当箇所 |
|---|---|---|
| ①、②、③ | 1、2、3 | 第3章の全条の項番号 |
| 第31条の三 | 第31条の3 | 第5章 |
| 別表1、別紙1 | 別表第1 | 第14条、第20条、第33条 |
この対応表は、確認のためだけでなく、改定の記録としても使えます。規程の体裁を変えた場合、どこをどう変えたかを残すよう求められる場合があるためです。対応表をそのまま改定履歴の添付資料にできます。
具体例2:プロジェクトに書式の見本を登録し、手順書を同じ型にそろえる
部署ごとに作られた業務手順書が20本あり、書き方がばらばらな場面を考えます。ある手順書は操作を文章で書き連ね、別の手順書は番号付きの手順の中に注意書きと例外処理が混ざっています。
Claudeには、資料と指示をまとめて登録しておけるプロジェクトの機能があります。ここに、体裁が整っている手順書を見本として1本登録し、文書作成のルールを指示として保存します。以後は手順書を1本ずつ渡すだけで、同じ型に整形されます。
プロジェクトの指示には、次の文面を入れます。
このプロジェクトでは、業務手順書の書式を、登録済みの見本に合わせて整えます。
【型】
- 冒頭に「目的」「対象者」「必要なもの」を置く。原文に記述がない項目は「記載なし」と書き、内容を作らない
- 操作は番号付きの手順にする。1つの番号に1つの操作だけを書く
- 操作の途中に書かれている注意書きは、その手順の直下に「注意:」で始まる行として分ける
- 例外処理や問い合わせ先は、手順の後ろに「うまくいかないとき」の見出しでまとめる
【守ること】
- 原文の文言を変えない。1文を複数の手順に分けるときも、語句は原文のものを使う
- 画面名、ボタン名、メニュー名は原文の表記のまま使う
- 原文にない手順、注意書き、説明を足さない
- 手順の順番を入れ替えない。順番に疑問があれば、出力の後に「確認事項」として書く
- 整形後の文書は、チャット欄ではなく別画面の成果物として出力する
最後の行は、Claudeが成果物をチャット欄とは別の画面に出す機能を使う指定です。アーティファクトと呼ばれるこの画面に文書が出ると、チャットの説明文と成果物が分かれ、修正を頼むたびに同じ文書が更新されていきます。長い手順書では、チャット欄に全文が繰り返し流れないだけで作業がかなり楽になります。成果物はコピーのほか、ファイルとして保存できる場合もあります。
文章で書かれた手順を番号付きに分けるとき、「ログイン後、メニューから申請を選び、新規作成を押します」という1文は3つの手順に分かれます。語句は原文のものを使っていても、文の区切り方はClaudeの判断です。操作の単位が現場の感覚と合っているかは、その業務を実際に行っている人に見てもらってください。手順書を新しく書き起こす場合の進め方は、総務の業務マニュアルをAIで作る手順にまとめています。
プロジェクトや成果物を別画面に出す機能は、プランや時期によって使える範囲が異なります。最新の仕様は公式情報で確認してください。
文言を直されたり、親切に補われたりしたときの対処
Claudeは文章への感度が高く、読みにくい文を見つけると直したくなる傾向があります。規程の整形では、この性質を抑える指示が要ります。
書き換えが見つかったときは、箇所を示して原文へ戻させます。
第17条第2項の文言が原文と異なっています。
原文:「所属長の承認を得なければならない。」
整形後:「所属長の承認を得る必要がある。」
原文どおりに戻してください。
あわせて、全条の文末表現を原文と照合し、異なっている箇所をすべて原文へ戻したうえで、戻した箇所の一覧を出してください。
手順書の整形で起きやすいのは、親切な補足です。「必要なもの」の欄に原文にない持ち物が足されたり、注意書きに一般的な安全上の注意が加わったりします。もっともらしい内容なので見逃しやすく、誤った手順が正式な文書として残る原因になります。指示に「原文に記述がない項目は記載なしと書く」と入れておくと、空欄を埋めようとする動きを止められます。
誤字を見つけて黙って直されるのも、規程では困ります。誤字の修正も改定にあたる場合があるためです。ステップ3のプロンプトのように、直さずに「気づいた点」として列挙させれば、修正するかどうかを所管部署が判断できます。この列挙は、規程の点検としても価値があります。
Wordに戻すと見出しや条番号が崩れるときの対処
規程や手順書をWordへ戻すときの問題は、見出しと番号の2つに集中します。
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| シャープ記号やハイフンが文字のまま残る | コピーボタンで記号付きテキストを貼った | 画面上の表示を範囲選択してコピーし、元の書式を保持して貼る |
| 「1.」で始まる行が勝手に自動番号になり、番号がずれる | Wordの入力オートフォーマットが働いた | 貼り付け直後に表示されるオプションで自動番号を取り消すか、オートコレクトの設定で箇条書きの自動設定を切ってから貼る |
| 条番号がWordの自動番号と文字の番号で混在する | 元の文書が自動番号で作られていた | 番号をすべて文字として持つか、すべてWordの番号機能に任せるかを決め、片方にそろえる |
| 見出しが目次に反映されない | 見出しスタイルが当たっていない | 章と条の見出しに見出しスタイルを当てる。置換機能で「第」で始まり「章」を含む段落を検索し、書式を一括で指定できる |
| インデントが空白文字で再現されている | 階層を字下げの空白で出力させた | 空白を削除し、Wordの段落設定のインデントで階層を付け直す |
元の文書がWordの自動番号で作られている場合は、Claudeへの指示を変えたほうが楽になります。番号を振り直させるのではなく、各段落がどの階層に属するかだけを出力させ、番号はWordに振らせます。
整形後の文書を、番号を付けない形で出力してください。
各段落の先頭に、階層を示す目印として【章】【条】【項】【号】のいずれかを付けます。
条の見出しと本文の文言は原文のままにしてください。
Wordに貼った後、目印ごとに検索して対応する段落スタイルを当て、目印を削除します。スタイルに番号書式を設定しておけば、条番号は自動で振られ、今後の改定で条を挟んでも番号がずれません。
Googleドキュメントで管理している場合は、設定でMarkdownの自動検出を有効にし、右クリックのメニューからMarkdownとして貼り付けると、見出しと箇条書きが変換されます。Wordの中で作業を完結させたい場合はCopilotで文章の書式を整える手順を、議事録のような短い文書を複数人分そろえる場合はChatGPTで文章の書式を整える手順を参照してください。
差し替える前に、誰が何を確認しますか
規程や手順書は、整形した本人の確認だけで差し替えないでください。確認の分担を決めておきます。
- 整形した担当者が、文書の比較機能の結果を見て、差が番号とインデントだけであることを確かめる
- 同じ担当者が、文書内の参照をすべてたどり、参照先の番号と内容が合っていることを確かめる
- 所管部署の担当者が、対応表と「気づいた点」の一覧を見て、改定手続きが必要な変更が含まれていないかを判断する
- 手順書の場合は、その業務を行っている人が、手順の区切り方と順番を実際の操作と照らす
メールや報告文を箇条書きや表に組み替えるような、文言の維持より情報の過不足が問題になる整形は、確認の考え方が異なります。そちらはGeminiで文章の書式を整える手順で扱っています。
まとめ
手元の規程か手順書を1本選び、ステップ2の点検プロンプトだけを実行してください。文書を書き換えない点検なら、差し替えの手続きを気にせず試せます。返ってきた乱れの一覧と参照切れの有無を見れば、整形に進む価値があるか、どの段階まで直すかを判断できます。整形へ進む場合は、対応表と文書の比較結果を残しておくと、所管部署への説明と改定履歴の両方に使えます。
よくある質問
Claudeに規程の書式を整えてもらうとき、条文の文言を変えさせない方法はありますか?
「変更してよいのは見出し、番号、インデント、改行だけ」と範囲を限定し、「条文の文言は助詞ひとつ変えない」と書き添えます。整形後には、旧番号と新番号の対応表と、条ごとの文字数の比較を出させてください。文字数が変わった条だけを原文と見比べれば、書き換えの有無を短時間で確認できます。
Claudeで整えた文章をWordに貼ると、見出しや番号が崩れるのはなぜですか?
コピーボタンでは記号付きのテキストがコピーされるため、Wordでは見出しになりません。画面上の表示を範囲選択してコピーすると形が残りやすくなります。条番号はWordの自動番号機能と衝突しやすいため、番号を文字として貼るか、Word側の自動番号に任せるかを先に決め、片方にそろえてください。
数十ページある手順書でも、Claudeで一度に書式を整えられますか?
Claudeは長い文書の読み込みを得意としており、文書全体の構成の点検や見出し案の作成は一度に頼めます。ただし整形後の全文を一度に出力させると途中で切れることがあるため、出力は章ごとに分けるほうが確実です。扱える分量はプランや時期で変わるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。