Claudeで研修の理解度テストを作る手順:長い教材から均等に出す
この記事の要点
Claudeで研修の理解度テストを作るには、規程と研修スライドをプロジェクトに登録し、章ごとの出題数と根拠の併記を条件にします。コンプライアンス研修を例に、難易度をそろえるプロンプト、配布前の確認、正解率が低い設問の直し方を解説します。
結論
Claudeで研修の理解度テストを作るときは、規程と研修スライドをプロジェクトに登録し、章ごとの出題数を先に指定したうえで、各設問に根拠となる条文を引用させます。資料が長くても読み込ませたまま作業を続けられるので、四択15問の初稿は目安として30分で形になります。条文の解釈が絡む設問は正解が2つ成り立つことがあるため、引用と原文を照合し、判断が分かれるものは法務に確認してから配ります。
コンプライアンス研修のテストが荒れる理由
規程を教材にしたテストは、他の研修より崩れやすくなります。条文は抽象的に書かれていて、実務に当てはめる段階で解釈の幅が出るからです。AIに設問を作らせると、その幅を埋めるために一般的な法令知識や他社の運用が入り込み、社内の規程にはない答えが正解になります。受講者は規程を読んで臨んでいるので、答えられません。テストの信頼が落ちると、研修の内容まで軽く扱われます。
ここでは、従業員500名のサービス業で、全社員向けのコンプライアンス研修を年1回実施している場面を例にします。教材は、贈答と接待の取扱規程、下請取引に関する社内ルール、ハラスメント防止規程の3本と、研修スライド35枚です。合計すると読むだけで1時間かかる分量で、受講後に15問のテストを行い、正解率8割を修了の条件にしています。
作業の切り分けを先に決めます。
| Claudeに任せる | 人が決めること |
|---|---|
| 3本の規程から出題できる論点を洗い出す | 今年重点を置く論点 |
| 章ごとの配分どおりに設問を割り振る | 章ごとの配分そのもの |
| 場面を示して行動を選ばせる設問を作る | その場面が自社で実際に起きうるか |
| 条文の引用を全設問に付ける | 引用と原文が一致しているかの照合 |
| 解釈が分かれる設問を指摘する | 分かれたときにどちらを正解とするか |
右の列は、社内の運用と過去の事案を知らなければ決められません。Claudeは登録した資料しか見ていないので、口頭で回っている運用や、昨年の相談事例は知りません。
資料をプロジェクトに登録して作業を分割する
研修ごとのプロジェクトを作り、規程3本と研修スライドを登録します。会話を分けても同じ資料を見たまま続けられるので、章ごとに設問を作る進め方と相性が良くなります。プランや時期によって使える機能が異なるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。
規程に取引先名や過去の事案が含まれているときは、自社の生成AI利用ルールに従ってください。判断がつかないときは、事案の記述を削り、条文と手順だけを残した版を登録すれば、出題の材料としては足ります。
プロジェクトに置く前提は、この内容です。
このプロジェクトは、全社員向けコンプライアンス研修の理解度テストを作るためのものです。
以下を前提として、すべての回答で守ってください。
【研修】
・対象は全社員500名。法務と管理部門以外の社員が9割
・受講形式は動画視聴。視聴後に15問のテストを実施する
・修了の条件は正解率8割。不合格者は再受講のうえ再テスト
・教材は登録した規程3本と研修スライド35枚のみ
【必ず守ること】
・登録した資料に書かれている内容だけから出題する
・法令の一般知識や他社の運用で補完しない
・各設問に、根拠となる規程名、条番号、条文の該当部分を引用する
・引用できない設問は作らず、作れない理由を書く
・条文の解釈が分かれる可能性がある設問は、その旨を明記して別に並べる
・設問文と選択肢では、規程で使われている用語をそのまま使う
解釈が分かれる設問を別に並べさせる指示が、この教材では効きます。すべてを一列に並べて返されると、どれを法務に確認すべきかが見えません。別枠に出させておけば、確認が必要な設問だけを抜き出して回せます。
具体例1:長い規程から章ごとに均等に出題する
長い資料を渡すと、設問は資料の前半に偏ります。章ごとの数を指定して防ぎます。
登録した資料から、理解度テストの四択問題を15問作ってください。
【出題範囲と問題数】
・贈答と接待の取扱規程 … 5問
・下請取引に関する社内ルール … 5問
・ハラスメント防止規程 … 4問
・研修スライドのうち、相談窓口と報告経路の説明 … 1問
【設問の作り】
・条文をそのまま暗記させる設問は5問までにする
・残りは、社内で起こりうる場面を示して、取るべき行動を選ばせる形にする
・場面は当社の業務で書く。例 … 取引先の担当者から歳暮が届いた、
外注先への支払日を社内都合で遅らせたいと言われた
【選択肢】
・4つ。文字数の差が最大でも1.5倍に収まるようそろえる
・誤答は、規程の別の条文に出てくる手続きを流用して作る
・「必ず」「一切」「例外なく」のような極端な語は入れない
・例外規定を使ったひっかけは作らない
・正解の番号が3問続けて同じにならないよう散らす
【各設問に添えるもの】
1. 正解
2. 根拠 … 規程名、条番号、条文の該当部分の引用
3. 誤答それぞれが、どの条文に照らして誤りなのか
4. この設問で確かめたい行動
解釈が分かれる可能性がある設問は、最後に別の見出しでまとめてください。
条文の暗記を5問までに抑える理由は、暗記できていても行動が変わらないからです。「贈答品の受領は上長への報告を要する」と覚えている社員が、実際に歳暮が届いたときに報告するとは限りません。場面を示して行動を選ばせる設問なら、受け取ったあと何をするかまで問えます。
誤答を別の条文から作らせるのも同じ考え方です。規程と無関係な選択肢は読んだ瞬間に消せるので、実質二択になります。別の条文の手続きを誤答に置くと、規程を読み込んだ人だけが区別できる設問になり、ひっかけにはなりません。
例外規定を使わないという条件も外せません。規程の但し書きを突いた設問は、法務の担当者には面白くても、年1回の動画視聴で臨む社員には解けません。テストは選抜ではなく、全員が守るべき線を確かめる場です。
具体例2:難易度をそろえてから通す
難易度は、定義を渡さない限りばらつきます。設問がそろった段階で、分類させて確かめます。
作成した15問を、次の定義で分類してください。
A … 規程を一度読めば答えられる。手続きの要否、報告先、期限
B … 規程の内容を自分の業務に当てはめて判断する。場面を示した設問
C … 複数の条文を結びつける。判断が2段階になる場面
【依頼】
1. 15問をA、B、Cに分類し、内訳の数を示す
2. 目標の内訳はA6問、B8問、C1問。ずれている場合は、
どの設問をどう書き換えれば目標に近づくかを示す
3. 各設問の想定正解率と、そう考える根拠を1行で書く
4. 想定正解率が5割を下回る設問については、
難易度が高すぎるのか、設問文が分かりにくいのかを区別して指摘する
5. 同じ行動を2問以上で確かめている設問があれば、重複として挙げる
分類の判断に迷った設問は、断定せずにその理由を書いてください。
Cを1問に絞るのは、全社員向けのテストだからです。複数の条文を結びつける判断は、管理職向けの追加研修で扱うほうが筋が通ります。全員に課すテストでCを増やすと、不合格者が増え、再受講の事務が膨らみます。
5番の重複確認が効きます。長い規程から15問を作らせると、報告先を問う設問が3問できるような偏りが起きます。確かめたい行動の一覧で見ると、偏りが数字で見えます。
想定正解率は実施後に使います。想定8割の設問が実際に4割なら、設問か教材のどちらかに問題があります。
具体例3:配布用と採点用を別画面に出し分ける
設問が固まったら、受講者に渡すものと、採点する側が持つものを分けます。会話の中に長文を出させると修正のたびに全文が出力し直されるので、成果物を別画面に出す機能を使うと、修正のやりとりが読みやすくなります。
確定した15問を、3つの文書に分けて出力してください。
それぞれ別画面の成果物として出してください。
【1つ目 … 受講者用の問題】
・冒頭に研修名、実施日、所属、氏名の記入欄
・注意書き … 制限時間20分、規程の参照可否、修了の条件、再テストの扱い
・設問は1から15の連番。選択肢は1から4
・正解、根拠、解説は載せない
・末尾に解答欄
【2つ目 … 採点者用】
・表形式。列は 設問番号 / 規程名 / 条番号 / 難易度 / 正解 / 想定正解率 / 確かめたい行動
・表の下に、誤答それぞれが誤りである理由を条文とともにまとめる
【3つ目 … 法務確認用】
・解釈が分かれる可能性があると判断した設問だけを抜き出す
・各設問について、どの解釈とどの解釈が成り立つか、根拠の条文とともに示す
・法務に確認してほしい点を、質問の形で1行ずつ書く
3つ目の法務確認用が、コンプライアンス研修では手間を減らします。法務の担当者に15問すべてを読んでもらうのは現実的ではありません。判断が必要な3問だけを質問の形で渡せば、10分で回答が戻ります。
規程そのものを読みやすく整える作業を先に済ませたい場合は、Claudeで業務マニュアルを作る手順の進め方が使えます。規程の条文を書き起こす段階からであれば、社内規程をAIで作成する方法に手順があります。
配る前に担当者が確認する手順
500名に配る前の確認は、15問で30分ほどです。順に進めます。
- 根拠の引用欄が全問埋まっているかを見る。空欄の設問は削る。
- 引用された条文を、規程の原文で検索して照合する。条番号が合っていても、文言が要約されている設問は内容がずれている可能性が高い。
- 正解を隠して、自分で15問を解く。規程を作った側が迷う設問は、受講者には解けない。
- 法務確認用に抜き出された設問を法務に回し、回答を待ってから確定する。
- 現場の管理職1名に、場面を示した設問だけを読んでもらう。自社では起こらない場面が混ざっていれば、ここで指摘される。
5番で落ちる設問が毎年出ます。Claudeが作る場面は規程から逆算した一般的なもので、自社の商流では起こらないことがあります。実際に起こらない場面の設問は、受講者が「うちではそんなことはない」と感じて、テスト全体を軽く見ます。AIの出力は人が確認してから配る、という一手を省かないでください。
正解率が低かった設問の直し方
実施後、正解率が想定を大きく下回った設問には印を付けます。コンプライアンス研修では、設問の作りより教材が論点を扱いきれていない場合が目立ちます。
| 見えた状態 | 考えられる原因 | 打つ手 |
|---|---|---|
| 特定の誤答に集中した | 規程の別条文の手続きと紛らわしい | 2つの条文の違いをスライドで説明する |
| 回答が4つに散った | 場面の描写が長く、何を問われているか伝わらない | 場面を3行に縮め、問いを最後の1文にする |
| 正解と誤答が二分した | 解釈が分かれる設問だった | 法務の見解を確認し、正解を確定してから再出題 |
| 管理職だけ正解率が高い | 一般社員が触れない手続きを問うている | 全社員向けから外し、管理職向け研修に移す |
原因の切り分けは、プロジェクトに資料が残っているのでそのまま頼めます。
実施した理解度テストの結果です。受講者は480名です。
登録した規程とスライドをもとに、正解率が低かった設問を見直してください。
【結果】
設問3 … 正解率42%。誤答の選択肢2に39%
設問8 … 正解率35%。4つの選択肢にほぼ均等に分散
設問11 … 正解率51%。正解と選択肢4で二分
設問14 … 正解率46%。管理職の正解率は81%
【それぞれについて答えてください】
1. 設問の作りに原因があるか、教材が論点を扱いきれていないか
2. そう考える理由を、規程とスライドの該当箇所を引用して説明する
3. 設問側に原因があるなら、書き直した設問と選択肢を出す
4. 教材側に原因があるなら、スライドのどこに何を足すかを3行で示す
5. 解釈が分かれていた可能性がある場合は、その旨を明記して法務確認用に回す
6. 回答の分布だけでは判断できない場合は、断定せずに確認すべきことを挙げる
6番を入れておかないと、どの設問にももっともらしい原因が割り当てられます。分布から分かることには限りがあるので、保留になった設問は受講者数名に聞き取ります。「何と迷ったか」を聞けば、3分で理由が出ます。
書き直した設問をそのまま翌年に使うのではなく、教材に足す内容と対で管理します。設問だけ易しくすると、正解率は上がっても行動は変わりません。
うまくいかないときの対処
条文の引用が原文と違う。 要約した文を引用として出しているときは、「引用は原文の文言をそのまま使ってください。要約が必要な場合は引用とは別に書いてください」と指示します。それでも合わないなら、その規程だけを会話に貼り直します。
出題が前半の規程に偏る。 章ごとの問題数を指定しても偏るときは、規程ごとに会話を分けて5問ずつ作らせ、最後に合流させるほうが確実です。プロジェクトに資料が残っているので、会話を分けても前提を渡し直す必要がありません。
法令の一般知識が混ざる。 「この設問の根拠は登録した資料の中に見つかりません」と指摘し、該当の条文が存在するかを確かめさせます。存在しなければ、その論点は教材が扱っていないと判断して出題から外します。
選択肢が長くて読みにくい。 「選択肢はすべて40字以内にし、選択肢に共通する前提は設問文へ移してください」と、移す先まで指定します。
再テスト用の別問題がほしい。 「設問3、8、11と同じ行動を確かめる別の設問を、場面を変えて作ってください。難易度は同じにし、根拠の条文も同じ条から取ってください」と頼むと、不合格者向けの差し替え問題が作れます。
他のツールで同じ作業を進める手順は、ChatGPTで研修の理解度テストを作る手順とGeminiで研修の理解度テストを作る手順にまとめています。
まとめ
今年のコンプライアンス研修で使う規程とスライドを1つのプロジェクトに登録し、章ごとの出題数を紙に書き出すところから始めてください。条文の暗記を問う設問は5問までに抑え、残りは自社で起こりうる場面から行動を選ばせる形にします。根拠の引用を原文と照合し、解釈が分かれる設問だけを法務に回し、場面の設問を管理職1名に読んでもらえば配れる状態になります。実施後は正解率の低い設問と、そこで足りなかった教材の箇所を対で残しておくと、翌年のスライド改訂がそこから始められます。
よくある質問
Claudeは規程と研修スライドをまとめて読んで問題を作れますか?
長い文書を読み込ませ、複数の資料を材料にして設問を作らせられます。研修ごとのプロジェクトに資料を登録しておけば、会話を分けても同じ資料を見たまま作業を続けられます。読み込める分量や形式はプランと時期によって変わるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。
Claudeが作ったコンプライアンステストはそのまま実施できますか?
実施できません。規程の条文にない解釈が正解になっている設問や、正解が2つ成り立つ設問が混ざります。各設問に引用させた条文を原文と照合し、判断が分かれる設問は法務の担当者に確認してから配布してください。
受講者が答えられない設問ばかりになってしまうのはなぜですか?
教材が扱っていない実務の応用まで出題しているときに起こります。出題範囲を教材の章に限り、各設問に根拠の引用を義務づけると、教材の外から作られた設問はその場で見分けられます。条文をそのまま暗記させる設問を減らし、場面を示して行動を選ばせる形にすると正解率も安定します。