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ChatGPTで用語集を作る手順:新人が読んで分かる定義に

ChatGPTで用語集を作る手順:新人が読んで分かる定義に

この記事の要点

ChatGPTで用語集を作るには、定義を考えさせるのではなく、社内資料に出てくる実際の用例から定義を起こさせます。中途入社者向けの社内用語集を例に、一般的な意味とのずれの見つけ方、根拠の示させ方、更新の続け方をプロンプト付きで解説します。

結論

ChatGPTで用語集を作るときに任せるのは、定義を考える作業ではなく、社内資料に出てくる実際の使われ方から定義を起こす作業です。規程や提案書、過去のやりとりを添付し、その言葉が使われている箇所を先に引用させてから定義文にすると、一般的な意味と自社の意味のずれが最初に見えます。用語を30語ほど選んで進めれば、初稿は目安として40分ほどで手元に届きます。

一般的な意味を当てはめると、何がずれるのか

社内用語は、一般的な言葉が社内で別の意味に固まったものが大半です。だからこそ、AIに意味を聞くと一番危ない答えが返ります。知らない言葉なら「分かりません」と返りますが、知っている言葉は知っている意味で答えるからです。

この記事では、社員250名の食品メーカーの営業部門で、中途入社者向けの用語集を作る場面を例にします。営業所が4か所あり、年に10名ほどが中途で入ってくる。入るたびに先輩が同じ説明を口頭でしていて、しかも営業所ごとに説明が微妙に違う、という状態からの出発です。

この会社で「本番」と言うと、試験的な納入が終わって継続受注が決まった取引を指します。ChatGPTに何も渡さずに聞けば、システムの稼働環境か、催事の当日という意味で答えます。新人がその説明を読むと、会議で飛び交う「本番になった」という言葉が理解できません。「仮押さえ」「差し戻し」「上申」も同じで、どれも一般的な言葉であるだけに、間違いに気づきにくい形で用語集に残ります。

用語集の材料になる資料を先にそろえる

定義を起こす材料は、その言葉が実際に使われている文書です。新人向けの用語集なら、新人が最初の3か月で目にする文書だけで足ります。

営業部門の例でそろえたのは、営業活動の手順を定めた社内規程、直近の提案書を3件、見積もりから受注までのやりとりが残ったメールを10通、月次の営業会議の資料を2回分です。古い資料を無理に集める必要はありません。今使われている言葉だけを拾うほうが、新人にとっては役に立ちます。

顧客名や金額をそのまま渡してよいかは社内ルール次第です。判断がつかないときは、顧客名をA社、金額を伏せ字に置き換えます。用語の使われ方を読み取るのに必要なのは、その言葉の前後の文脈だけです。

前提を固定してから会話を始める

ChatGPTには案件ごとの入れ物となるプロジェクトと、すべての会話に効くカスタム指示があります。用語集は一度で終わらず、部署を変えて2本目、3本目と続くので、用語集用のプロジェクトを作って前提と資料を置くほうが会話が混ざりません。プランや時期によって使える機能が異なるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。

このプロジェクトは、当社の営業部門の社内用語集を作るためのものです。
登録した資料は、営業活動の社内規程、直近の提案書3件、
受注までのやりとりのメール10通、営業会議の資料2回分です。

【前提】
・食品メーカー。社員250名。営業所は4か所
・用語集を読むのは、年に10名ほど入ってくる中途入社者
・読み手は食品業界の経験はあるが、当社での言い方は知らない

【守ってほしいこと】
・用語の意味を、一般的な知識から推測して書かない
・定義は、登録した資料の中で実際にその言葉が使われている箇所からだけ起こす
・定義を書くときは、根拠にした資料名と該当する一文を必ず併記する
・資料から読み取れない用語は、定義せずに「資料に用例なし」と書いて返す
・カッコを使った補足や英語の併記をしない。用語は文の中で言い直す

根拠を必ず書かせる指示が、この用語集の品質を決めます。根拠の欄が埋まっている定義は資料をたどって確かめられ、空欄の定義はChatGPTが自分の知識で埋めた部分だと一目で分かります。確認すべき箇所が目で見えるようになるので、担当者のレビューが数十分で終わります。

具体例1:資料から用語を拾い、用例ごと出させる

定義を書かせる前に、収録する用語を決めます。頭で思い出して並べると、自分が説明し慣れている言葉ばかりになり、新人が実際につまずく言葉が抜けます。資料に語らせます。

登録した資料を読み、当社の営業部門でしか通じない可能性がある言葉を抜き出してください。

【抜き出す対象】
1. 社内の略語や短縮した言い方
2. 一般的な言葉だが、当社では特定の意味で使われている疑いがあるもの
3. 業界では通じるが、他業界から来た人には通じない言い方
4. 資料の中で説明なしに使われている固有の手続きや帳票の名前

【出力形式】
表にしてください。列は次の4つです。
・言葉
・分類(上の1から4のどれか)
・資料に出てくる用例を、そのままの一文で1つ
・その用例が載っている資料名

【条件】
・30語を上限に、資料の中での登場回数が多い順に並べる
・この段階では定義を書かない。用例を引くだけにする
・一般的な意味で読んでも文意が通る言葉には、印をつける

印をつけさせた言葉が、この作業の収穫です。一般的な意味でも読めてしまう言葉は、新人が誤解したまま数か月過ごす原因になります。営業部門の例では「本番」「仮押さえ」「上申」「差し戻し」「一次案件」に印がつきました。担当者が並んだ一覧を見て、収録する言葉と落とす言葉をその場で決めます。ここは人が決めます。

具体例2:ファイルを添付して、一般的な定義と自社の定義を分けて書かせる

用語が決まったら、定義を2列に分けて書かせます。1つの定義文に両方の意味を混ぜると、読んだ新人がどちらを信じるべきか分かりません。

ChatGPTはファイルを添付して読ませられるので、プロジェクトに置いた資料に加えて、その用語だけが出てくる抜粋ファイルを渡すと精度が上がります。

添付した抜粋ファイルは、先ほど選んだ12語が登場する箇所だけを集めたものです。
この12語について、定義を次の形式で書いてください。

【各用語の出力形式】
・言葉
・世の中で一般に使われる意味 … 1文。当社の事情は入れない
・当社での使われ方 … 2文以内。資料の用例から読み取れる範囲だけ
・ずれの有無 … 一般的な意味と当社の使い方が違う場合、どこが違うかを1文で
・根拠 … 資料名と、読み取りの元になった一文

【条件】
・当社での使われ方を資料から読み取れない語は、その欄を「用例なし」とし、
  推測で埋めない
・一般的な意味の欄も、確信が持てない語は「要確認」と書く
・当社での使われ方の欄に、私が伝えていない数値や期限を入れない

「ずれの有無」の欄が、そのまま新人向けの注意書きになります。用語集の本文に「一般には催事の当日を指すが、当社では継続受注が決まった取引を指す」と一行入っているかどうかで、読んだ人の理解が変わります。

長い文書を別画面で編集する機能を使うと、用語集の本体が横に残り、1語だけ直したいときに全文が出力し直されません。50語を超える用語集では、この差が作業時間に効いてきます。手順書そのものを作る場合の進め方は、ChatGPTで業務マニュアルを作る手順にまとめています。

同じ言葉を部署で違う意味に使っているとき

営業部門の用語集を作っていると、他部署と衝突する言葉が必ず出ます。食品メーカーの例では「差し戻し」がそうでした。営業部門では、提出した見積もりを上長が返して作り直させることを指します。品質管理部門では、出荷前の検査に通らなかった製品を製造ラインに戻すことを指します。

どちらかに統一する判断は用語集の作成者にはできません。用語集がやるべきなのは、意味が分かれている事実を新人に伝えることです。

この用語集に載せる言葉のうち、部署によって違う意味で使われている疑いがあるものを
資料から探してください。

【探し方】
・同じ言葉が、異なる部署が作成した資料の中で、異なる対象を指していないか調べる
・指している対象が違うと判断した根拠として、両方の用例を引用する

【見つかった語の出力形式】
・言葉
・営業部門での使われ方と、その用例
・他部門での使われ方と、その用例、およびその部門名
・新人が誤解したときに起こりうる具体的な場面を1つ

【条件】
・どちらが正しいかを判定しない。両方を並べるだけにする
・資料に用例が1つしかない語は、判断せずに「確認が必要」と返す

最後の「誤解したときに起こりうる場面」を書かせておくと、用語集に載せる注意書きの文面に使えます。「差し戻しと言われたら、どちらの意味かを相手に確認してください」の一行は、この出力から生まれます。

読む人の知識に合わせて説明の厚みを変える

同じ用語集でも、入社初日に読む人と、配属3か月後に読む人では必要な説明が違います。厚みは指定できます。

読み手定義の長さ添える情報
入社初日の中途入社者40字以内どの場面で耳にするか
配属直後の営業担当80字以内関連する帳票名と手続きの流れ
他部署から異動した人80字以内前部署での言い方との違い
社外の業務委託先40字以内社外に出してよい範囲の注記

厚みを変えるときは、定義を作り直させるのではなく、根拠を固定したまま書き換えさせます。

先ほど確定した用語集の定義を、入社初日の中途入社者向けに書き換えてください。

【条件】
・各定義は40字以内。長くなる説明は削り、意味の核だけを残す
・その言葉を最初に耳にする場面を1つ添える。場面は資料の用例から取る
・根拠の欄は変更せず、そのまま残す
・専門用語で言い換えない。中学生が読んで意味が通る表現にする
・削った情報は、別の一覧にまとめて出す。後で詳しい版に使う

削った情報を捨てずに別の一覧で受け取っておくと、詳しい版を作るときに資料を読み直さずに済みます。読み手を変えた文書の作り分けは、ChatGPTでFAQを作る手順でも同じ考え方を使っています。

うまくいかないときの対処

根拠の欄が空欄のまま定義が埋まっている。 会話が長くなると前提の指示が効かなくなります。定義を書かせる直前に「根拠のない語は定義しない」ともう一度書き添えてください。それでも埋まるなら、空欄の語だけを抜き出して別の会話でやり直すほうが早く済みます。

定義が教科書のような言い回しになる。 資料の用例ではなく、ChatGPTの一般知識から書かれているしるしです。「この定義は、添付資料のどの一文から起こしましたか」と聞き返すと、答えられない語が見つかります。

用語が多すぎて後半の定義が雑になる。 20語ずつに区切って進めます。区切るときは分野で分けず、資料ごとに分けるほうが、根拠の追跡が楽になります。

新人に読ませたら別のところでつまずいた。 用語集に載せる言葉の選び方が、書き手の感覚に寄っています。新人が実際に質問してきた言葉を1か月分ためて、次の更新で追加してください。

更新を止めないための運用

用語集は作った直後から古くなります。止めないための仕掛けを、作るときに一緒に決めておきます。

新しい言葉を拾う担当を決めます。営業部門の例では、中途入社者本人に「読んでも分からなかった言葉」を入社1か月後に挙げてもらう役割を持たせました。書いた人には見えない穴を、読む人が教えてくれます。

更新は資料の差分から起こします。半年ごとに、その間に作られた提案書と会議資料だけを添付し、「この資料に出てくる言葉のうち、現在の用語集に載っていないものを挙げてください」と頼みます。ゼロから作り直すより速く、抜けも少なくなります。

使われなくなった言葉は消さずに残します。過去の資料を読む人が必ず出るため、「現在は使っていない。今は別の言い方をしている」と注記を付けて残すほうが親切です。

そして、どの版でもChatGPTの出力をそのまま配らないことを運用に組み込みます。根拠として示された一文を担当者が資料と突き合わせ、その業務に就いたことがない人に読んでもらう。この2段階を通していない用語集は、間違った定義を社内に広める道具になります。他のツールで同じ作業を進める手順は、Geminiで用語集を作る手順とClaudeで用語集を作る手順にまとめています。

まとめ

自部署の新人が最初の1か月でつまずいた言葉を、思い出せるだけ紙に書き出してください。それが収録する用語の出発点になります。次に、その言葉が載っている社内資料を4種類ほど集めてChatGPTのプロジェクトに置き、根拠を必ず書かせる前提を先に固定します。定義は一般的な意味と自社の使われ方を分けて出させ、根拠の空欄だけを自分の目で埋めます。ここまでの前提文とプロンプトを保存しておくと、次に別の部署の用語集を作るときは、資料と読み手の条件を差し替えるだけで動きます。

よくある質問

ChatGPTに社内用語の意味を聞いても正しい答えが返らないのはなぜですか?

ChatGPTは自社の資料を見ていないため、その言葉の一般的な意味を当てはめて答えます。社内で違う意味に使っている言葉ほど、もっともらしい間違いが返ります。規程や提案書、過去のやりとりを添付し、その言葉が実際に使われている箇所を引用させてから定義させてください。

ChatGPTで作った用語集はそのまま新人に配ってよいですか?

配れません。資料から起こした定義でも、引用箇所の読み違いや、すでに使われなくなった古い用法が混ざります。各用語の根拠として示された箇所を担当者が確認し、その業務に就いたことがない人に読んでもらって伝わるかを試してから配布してください。

社内の規程や提案書をChatGPTに添付してもよいですか?

自社の生成AI利用ルールに従ってください。判断がつかない場合は、顧客名と金額を記号に置き換えた資料を使えば、用語の定義を起こす用途には足ります。どの資料をどこまで入力してよいかは、情報システム部門に先に確認するのが確実です。