Claudeでアイデア出しの壁打ちをする手順:新商品の名前を決める
この記事の要点
Claudeでアイデア出しの壁打ちをするなら、インタビューの逐語記録を丸ごと読ませ、売り出しの切り口を決めてから名前の候補を出させます。冷凍弁当の新商品を例に、発想を広げる指示、絞り込みの評価軸、反論のさせ方、決定前の確認を解説します。
結論
Claudeで商品名を考えるなら、名前を先に求めるのをやめます。顧客インタビューの逐語記録を丸ごと読ませ、売り出しの切り口を3つ作らせ、切り口ごとに名前を出させる順で進めます。名前は切り口の言い換えなので、切り口が平凡なら名前も平凡になります。候補を評価軸で絞り、推したい案には反対の立場を取らせるところまでで、目安として1時間です。
名前を出す前に、売り出しの切り口を決める
「高たんぱくの冷凍弁当の名前を20個出してください」と頼むと、たんぱくやプロテインを含む名前と、健康や毎日を組み合わせた名前が並びます。どれも棚で埋もれます。名前が似通うのは、Claudeの発想が貧しいからではなく、こちらが渡した情報が商品の仕様だけだからです。
切り口とは、誰のどんな場面に向けて、何を約束する商品なのかという一文です。「トレーニングをする人に、筋肉づくりのための食事を」と、「夕食を作る気力のない共働きの家庭に、罪悪感の出ない一食を」では、出てくる名前がまったく違います。切り口を自分で決めきれないから名前が出ないのであって、そこをClaudeと一緒に作るのが壁打ちの中身です。
Claudeに読ませる材料と、読ませ方
Claudeは長い文書を通して読めます。要約ではなく元の記録を渡したほうが、顧客が使った言葉をそのまま拾えます。
| 材料 | 渡し方 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 顧客インタビューの逐語記録 | 8人分をまとめて添付する | 切り口の素材。顧客が実際に使った言い回しを拾う |
| 競合商品のパッケージ表記 | 商品名と売り文句を書き写した一覧を添付 | 混ざらないための除外条件にする |
| 自社の既存商品名の一覧 | 表記ルールとあわせて添付 | 棚に並んだときの見え方をそろえる |
| 過去に没になった名前と理由 | 箇条書きで貼り付ける | 同じ議論を繰り返さないために使う |
プランや時期によって使える機能が異なるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。一度に読み込める文書の量と、プロジェクトに登録できる資料の量は変わりやすい部分です。
Claudeでアイデア出しの壁打ちをする手順
来春発売の高たんぱく冷凍弁当を例にします。想定売価は1食700円前後、販路はスーパーの冷凍棚と自社の通信販売です。
- 逐語記録を読ませ、顧客が使った言葉を分類させる
- 分類をもとに、売り出しの切り口を3つ作らせる
- 切り口ごとに、制約を変えながら名前の候補を出させる
- 評価軸で採点させ、候補を5つに絞る
- 推したい案に反対させ、残った案を社内に出す形に整える
段階1と2で往復を重ねるほど、段階3が楽になります。切り口が定まっていれば、名前は量を出させて選ぶだけの作業になります。
具体例1:逐語記録から、売り出しの切り口を3つ作る
顧客の言葉を分類させる
8人分の逐語記録を添付し、この回では案を出させません。
添付したのは、冷凍弁当を月に1回以上買う方8人へのインタビューの逐語記録です。
1人あたり40分ほどの記録です。この回では商品名を提案しないでください。
次を答えてください。
1. 冷凍弁当を買う場面について、話に出てきた状況を分類してください。
見出しには、私の言葉ではなく、話し手が実際に使った言い回しを使ってください
2. 各分類について、その言い方をした人数と、代表的な発言を3つそのまま引用してください
3. 冷凍弁当に対して後ろめたさや言い訳が語られている箇所を、発言ごとに抜き出してください
4. 8人のうち1人しか言っていないが、他の人も内心では思っていそうな発言を3つ
5. たんぱく質や栄養について、話し手が自発的に語った箇所と、
私が質問したから答えた箇所を分けてください
5番目が商品企画では効きます。栄養の話が全部こちらの質問から出ているなら、それは顧客が気にしている点ではありません。そこを軸に名前をつけると、売り手だけが熱心な商品になります。
3番目で拾える言葉が、切り口の材料として一番使えます。「手抜きだと思われたくない」「子どもには申し訳ないけど」といった発言は、商品が解決すべきことが味や栄養ではないことを示しています。
切り口を作らせて、選ぶ
いまの分類をもとに、この商品の売り出しの切り口を5つ作ってください。
切り口は、次の形の一文で書いてください。
「誰が、どんな場面で、何のために買い、買った後にどう感じる商品か」
各切り口には、次を添えてください。
・その切り口を支える発言の引用を2つ。引用できない切り口は出さない
・その切り口で売る場合に、棚で並ぶ競合
・その切り口を選んだとき、捨てることになる顧客層
5つのうち、当社が言っても嘘にならないものはどれかを、
添付した商品仕様書と照らして判定してください。
捨てる顧客層を書かせる指示を入れてください。切り口を決めるとは、誰に売らないかを決めることでもあります。それを書き出さないまま進めると、社内の議論で全員に向けた無難な名前に戻ります。
商品企画でのアイデア出しの進め方は、商品企画のアイデア出し・壁打ちにAIを使う方法にもまとめています。
制約を変えて名前の幅を広げる
切り口が決まったら名前に移ります。1回の指示で20個出させるより、制約を変えて回数を分けたほうが、方向の違う候補が集まります。
| 変える制約 | 指示の書き方 | 出てくる候補の傾向 |
|---|---|---|
| 言葉の種類 | カタカナを使わず、ひらがなと漢字だけで | 家庭的な語感の候補が増える |
| 文字数 | 4文字以内で、声に出して2拍で言える名前 | 棚と口頭の両方で通る短い候補が出る |
| 禁止語 | たんぱく、プロテイン、ヘルシー、健康、毎日を使わない | 競合と混ざらない候補が残る |
| 語り手 | この弁当を友人にすすめる人が口にする一言から | 売り文句寄りの、説明的な候補が出る |
| 由来 | 食材でも栄養でもなく、食べ終わった後の気分から | 情緒に寄った候補が出る |
禁止語の指定は、競合の一覧を添付していれば自動で作らせられます。「添付した競合12商品の商品名と売り文句から、業界で使い古されている語を10挙げ、それらを使わない条件で候補を出してください」と頼むと、こちらが思いつかない共通語まで挙がります。
実際の指示は次の形になります。
切り口2の「夕食を作る気力がない日に、手抜きだと感じずに済む一食」で、
商品名の候補を15個出してください。
【条件】
・6文字以内。カタカナだけの名前は3つまで
・たんぱく、プロテイン、ヘルシー、健康、バランス、毎日は使わない
・添付した当社の既存商品名の一覧と、語感や構成が重ならないこと
・スーパーの冷凍棚で、50センチ離れた位置から読めること
各候補に、次を1行ずつ添えてください。
・名前の由来
・逐語記録のどの発言とつながっているか。引用つきで
・この名前が伝えられないこと
15個は、由来の考え方が5種類以上に分かれるようにしてください。
最後の1行が、候補が同じ発想に固まるのを防ぎます。伝えられないことを書かせるのも同じ狙いで、名前の限界が見えていれば、パッケージの売り文句で何を補うかを同時に考えられます。
候補を評価軸で5つに絞る
候補が40を超えたら、自分で決めた軸で採点させます。Claudeは成果物を別画面の文書として出せるので、採点表はそこに出させると扱いやすくなります。チャットの中では、修正を頼むたびに表が出力され直して追えなくなります。
ここまでに出た候補を、次の5つの軸で5段階に採点し、表にしてください。
表は、チャットの本文ではなく別画面の文書として出してください。
・言いやすさ:5は一度聞いて言い直せる、1は読み方が割れる
・覚えやすさ:5は翌日思い出せる、1は他社名と混同する
・切り口との一致:5は切り口の一文をそのまま思い起こさせる、1は無関係
・棚での見え方:5は競合と並んだとき一語で違いが立つ、1は埋もれる
・言い換えにくさ:5は略しても崩れない、1は略すと別の意味になる
合計点の高い順に並べ、上位10個については、
その名前を初めて聞いた人が誤解しそうな意味も1行で書いてください。
誤解しそうな意味を書かせるのを省かないでください。語感のよい名前ほど、別の商品分野を連想させることがあります。冷凍弁当の名前が化粧品に聞こえるなら、棚に並ぶ前に落とせます。
点数そのものは判断の材料にとどめてください。Claudeは実際の売り場を見ていないので、棚での見え方の採点は当てになりません。読むべきなのは順位ではなく、採点の理由と誤解の指摘です。
自分が推している案に反対させる
上位5つのうち、自分が推したい1つが出てきます。そこで賛成を求めると、それらしい理由が並んで判断が鈍ります。反対させてください。
次の商品名を、私は採用したいと考えています。
反対の立場から検討してください。賛成意見はいりません。
【商品名】ひとやすみ膳
【切り口】夕食を作る気力がない日に、手抜きだと感じずに済む一食
【売価】1食700円前後、スーパーの冷凍棚と通信販売
次の順で答えてください。
1. この名前で売れなかったとき、後から振り返って指摘されるであろう失敗の理由を3つ
2. この名前が前提にしている、そうであってほしい思い込みを3つ
3. 買わない人が、この名前を見て抱く印象を3つ
4. 社内の会議でこの案に反対する営業部門が突いてくる点を3つと、それぞれへの答え方
5. 3年後にこの商品の種類を増やすとき、この名前が邪魔になる場面を1つ
5番目は商品名に固有の観点です。名前は一度決めると変えられません。味の種類を増やす、少量の弁当を出す、店頭販売に広げるといった先の展開で、名前が足かせになることがあります。ここで詰まる名前は、いま採用しないほうが安全です。
反論を読んだら、同じ会話で作り直させます。「いま挙げた思い込みと失敗の理由を踏まえて、候補を5つ出し直してください。元の名前を捨てる必要はなく、弱いところを補う形も含めてください」と続けると、推していた名前の改良版と、その名前が抱えていた弱点のない別案が並びます。
具体例2:プロジェクトに資料を登録して、次の商品でも同じ基準で出す
商品名を考える仕事は年に何度も来ます。そのたびに表記ルールと既存商品名を貼り直すのは無駄です。Claudeのプロジェクトには資料と指示を登録しておけます。
登録するのは次の4つです。
- 自社の商品名の表記ルール。使える文字種、字数の上限、避ける語
- 既存商品名の一覧と、それぞれの由来
- 過去に没になった名前と、没になった理由
- 商品名を出すときの決まり。由来と、つながる顧客の発言と、伝えられないことを必ず添える
登録が済んでいれば、次の商品では依頼が短くなります。
新商品のインタビュー記録を添付します。
登録してある表記ルールと決まりに従って、切り口を3つ作り、
切り口ごとに商品名の候補を10個ずつ出してください。
あわせて、次も報告してください。
- 登録してある既存商品名と語感が近い候補があれば、どれとどう近いか
- 過去に没になった名前と、考え方が同じ候補があれば指摘してください
2つ目の確認が効きます。数年前に没になった名前と同じ発想の候補を、別の担当者が出し直すことは珍しくありません。指摘させておけば、会議で同じ議論を繰り返さずに済みます。
名前を決める前に確認すること
Claudeが出した名前は、権利の確認も市場の確認も経ていません。候補を絞った段階で、人の手で確かめます。
- 同じ名前や似た名前が先に使われていないかを調べる。商標として使えるかの判断は弁理士や法務の担当に相談する
- 候補の読み方を、社内の5人に一度だけ見せて声に出してもらう。読みが割れる名前は落とす
- 検索したときに、別の意味や好ましくない語と結びつかないかを確かめる
- 通信販売の表示や景品表示の決まりに触れる表現が入っていないかを確かめる
2番は10分で終わって効果が大きい確認です。Claudeは読み方が割れるかどうかを正しく判定できません。人の目と口で確かめるほうが早く、確実です。
インタビューの逐語記録には、話し手の氏名や勤務先、家族の事情が含まれます。Claudeに読み込ませてよいかは、自社の生成AI利用ルールと、調査を委託した会社との取り決めで決まります。個人が特定できる部分を消してから添付し、判断に迷う資料は法務か情報システム部門に先に相談してください。出力は下書きであり、社外に出す文言は人が確認します。
うまくいかないときの対処
候補が全部それらしいが、どれも選べない。 切り口が絞れていません。名前の作業を止めて、切り口の一文に戻ります。捨てる顧客層を書き出すと、選べるようになります。
引用を頼んだのに、記録にない発言が出てくる。 「引用は逐語記録の原文をそのまま写してください。言い換えや要約は禁止です」と指示し直し、気になる引用は記録を開いて確かめてください。引用が見つからない候補は落とします。
禁止語を指定したのに、似た意味の語が使われる。 禁止するのは語ではなく方向だと伝えます。「栄養の良さを直接示す語は、表記を変えたものも含めて使わないでください」と書くと、表記違いの回避が減ります。
やり取りが長くなり、最初の条件が守られなくなる。 字数と禁止語は、指示のたびに1行で書き添えます。それでも崩れるなら、絞った候補だけを持って新しい会話で続けるほうが早く済みます。
別画面に出した表が、直すたびに他の行まで変わる。 「上位5行の誤解の欄だけ書き直してください。他の行は一字も変えないでください」のように、直す場所と触らない場所を両方指定します。
同じテーマを別のツールで壁打ちすると、進め方の違いから別の候補が出ます。ChatGPTでアイデア出しの壁打ち手順、Geminiでアイデア出しの壁打ちをする手順、Copilotでアイデア出しの壁打ちをする手順を参考にしてください。
まとめ
手元にある顧客インタビューの記録を要約せずにそのままClaudeに添付し、話し手が使った言い回しで分類させるところから始めてください。後ろめたさが語られた箇所を抜き出させ、そこから切り口を5つ作らせて1つ選びます。禁止語と字数を変えながら候補を出させ、誤解されそうな意味まで書かせた表で5つに絞り、推したい名前には反対の立場を取らせます。絞り終えたら、社内の5人に読み上げてもらい、権利の確認を法務に回してください。表記ルールと没になった名前は、その日のうちにプロジェクトへ登録しておくと、次の商品では記録を添付するだけで同じ基準の候補が出ます。
よくある質問
Claudeは顧客インタビューの逐語記録を読んだうえで商品名の案を出せますか?
長い文書の読み込みはClaudeの得意分野で、複数人分の逐語記録をまとめて添付し、そこに出てきた言葉を根拠に案を出させられます。ただし一度に読み込める量には上限があり、プランや時期で変わります。収まらない場合は数人ずつに分けて要点を出させ、その結果を材料に案を作らせます。
Claudeが出した商品名をそのまま採用してよいですか?
採用の前に、同じ名前や似た名前が先に使われていないかの調査が必要です。商標として登録できるか、他社の権利に触れないかの判断は専門家の領域なので、候補を絞った段階で弁理士や法務の担当に相談してください。
何度やっても平凡な商品名しか出てきません。どうすればよいですか?
名前だけを求めているのが原因です。誰にどう売るかの切り口を先に決め、その切り口ごとに名前を出させてください。さらに、使ってはいけない言葉、文字数、カタカナと漢字の別といった制約を与えると、無難な候補に寄るのを防げます。