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Geminiで課題を構造化する手順:思いつきと事実を切り分ける

Geminiで課題を構造化する手順:思いつきと事実を切り分ける

この記事の要点

Geminiで課題を整理するときは、ドライブの求人票や媒体レポート、Gmailのやりとりを参照させ、どこで人が落ちているかを先に特定します。中途採用の応募難を例に、切り口の決め方と着手する課題の絞り方を、プロンプト例つきで解説します。

結論

「応募が集まらない」はそれ自体が課題ではなく、複数の詰まりが重なった結果です。Geminiに原因を尋ねる前に、募集が表示された数から内定承諾までを段に分け、どの段で人が減っているかを特定してから、その段だけを掘り下げます。ドライブの求人票や媒体のレポート、Gmailに残った候補者とのやりとりを参照させられるので、思いつきの原因と数字で裏づく原因を同じ画面で仕分けられます。

「応募が集まらない」を原因から聞かない

採用の相談をGeminiに投げると、給与水準、知名度、求人票の訴求力、媒体の選定といった要因が並びます。どれも採用でよく言われることで、自社のどれが効いているかは分かりません。原因の一覧を作る前に、減っている場所を1つに絞ります。

中途採用はいくつもの段を通ります。求人が検索結果に出る、求人票が開かれる、応募される、書類が通る、面接に来る、内定を承諾する。応募が集まらないと感じているとき、実際に減っているのは表示か、閲覧か、応募かのどれかです。表示が出ていないのに求人票の文言を直しても、数字は動きません。

この記事では、従業員320名ほどの設備工事会社で施工管理の経験者を中途で採る場面を例にします。求人媒体に2か月出して応募が数件、人事課の担当者が原因を整理し、次の四半期に打つ手を1つ決めるところまでを想定します。

全体の流れは次のとおりです。

  1. どの段で減っているかを数字で特定する
  2. その段だけを対象に、切り口の候補を出させる
  3. 選んだ切り口で2階層だけ掘り下げる
  4. 重なりと抜けを点検する
  5. 確かめられる原因と、仮説のままの原因を分ける
  6. 評価軸を作り、次の四半期に打つ手を1つ選ぶ

材料の置き場所によって、頼む場所を変える

同じGeminiでも、呼び出す場所によって向いている作業が変わります。

呼び出す場所向いている作業
Geminiのアプリやウェブ画面ドライブの求人票と媒体レポートをまとめて読ませ、段ごとの数字を並べる
Googleドキュメントの中のGemini課題ツリーを文書として置き、枝ごとに直す。会議資料にそのまま育てる
Gmailの中のGemini媒体担当者との長いやりとりから、掲載条件の変更や助言の履歴を拾う

プランや時期によって使える機能が異なるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。会社のアカウントでは管理者が連携を止めていることもあります。その場合はファイルをアップロードし、メールの本文を貼れば、以降の手順はそのまま使えます。

具体例1:求人票と媒体レポートを読ませ、減っている段を特定する

最初に頼むのは原因ではなく、数字の整理です。この段階では原因を書かせません。

Googleドライブにある次の資料を確認してください。
この段階では原因を書かないでください。

- ファイル名に「施工管理_求人票」を含むドキュメント。今回の掲載分と前回の掲載分
- ファイル名に「媒体レポート」を含むスプレッドシート。直近6か月分
- ファイル名に「応募管理」を含むスプレッドシート

次の形で、数字だけを整理してください。

1. 表示、求人票の閲覧、応募、書類通過、面接実施、内定承諾の各段について、
   月ごとの件数を1つの表にする
2. 段と段の間で、人数が何分の1になっているかを段ごとに示す
3. 資料の中に数字が見つからない段は、空欄にして「資料になし」と書く
4. 前回の掲載分と比べて、減り方が大きく変わっている段を挙げる
5. 資料の間で数字が食い違っている箇所があれば、どちらがどの資料かを示して列挙する

推測で数字を埋めないでください。

3番目と5番目の指示がないと、資料にない数字がそれらしく埋まります。空欄のまま返させると、測れていない段が見えます。表示数が「資料になし」で返ってきたなら、最初にやるのは原因の分析ではなく、媒体の管理画面から数字を取ることです。

減り方を段ごとに並べると、たいてい1か所だけが目立ちます。求人票の閲覧は前回と変わらないのに応募だけが半分になっているなら、閲覧から応募の間で何かが起きています。掘り下げる範囲がここで6分の1になります。

手順1:切り口の候補を出させ、選んでから展開する

減っている段が決まったら、その段だけを対象に切り口を出させます。いきなり原因を並べさせないのが要点です。

閲覧から応募までの間で人数が減っている原因を整理します。
この段階では原因を挙げないでください。

【やってほしいこと】
1. この範囲の原因を分ける切り口を3通り提案する。
   切り口とは、たとえば「応募者が求人票を読み進める順に分ける」
   「条件、仕事内容、会社の情報、応募の手間のどこに引っかかるかで分ける」
   といった分け方の軸のこと
2. 切り口ごとに、大分類を4つ以内で並べる。大分類の下は書かない
3. それぞれの切り口の長所と短所を1行ずつ書く
4. 今回の目的は次の四半期に打つ手を1つ決めることです。
   この目的にどの切り口が合うかを、理由を添えて勧める

私が切り口を選ぶまで、下の階層に進まないでください。

応募者が読み進める順で分ける切り口を選んだとすると、大分類は冒頭で目に入る条件、仕事内容の説明、会社と職場の情報、応募操作の手間、という並びになります。この4つを見て「うちの求人票には職場の写真も社員の話も載っていない」と気づけば、その時点で1つ当たりが付きます。

手順2:選んだ大分類を2階層だけ下ろす

4つを同時に展開させると出力が膨らみ、どれが実態に近いのか判断できなくなります。1つずつ頼みます。

「冒頭で目に入る条件」の大分類だけを掘り下げてください。
他の大分類にはまだ触れないでください。

【条件】
・下に2階層だけ展開する。3階層目には進まない
・第3階層は、当社の求人票を実際に直せる粒度まで下ろす。
  どの項目のどの記載を指しているかが分かるように書く
・各項目の末尾に、確かめ方を1つ書く。
  確かめ方は「求人票のどこを見るか」「どの数字を見るか」
  「誰に聞くか」のいずれかにする
・ドライブの求人票に根拠がある項目と、一般論から出した項目を分けて示す
・一般論から出した項目には、頭に「未確認」と付ける

返ってくるのは、たとえば次のような形です。

冒頭で目に入る条件
├─ 給与の見せ方が比べにくい
│   ├─ 年収の下限だけが書かれ、上限と決まり方が書かれていない
│   │    確かめ方: 求人票の給与欄と、同じ媒体の同職種3件を見比べる
│   └─ 未確認 資格手当と現場手当が本文に埋もれ、金額欄に入っていない
│        確かめ方: 求人票の本文と給与欄を照合する
└─ 勤務地と移動の条件が分からない
    ├─ 担当現場の範囲が「関東一円」とだけ書かれている
    │    確かめ方: 施工管理課の課長に、実際の担当範囲を聞く
    └─ 未確認 直行直帰の可否が書かれていない
         確かめ方: 就業規則と現場運用を人事課内で確認する

「未確認」の印が、この先の仕分けで効きます。残りの大分類も同じ形で1つずつ頼みます。

手順3:重なりと抜けを点検する

4本の枝がそろうと、同じ内容を違う言葉で書いた項目が必ず混ざります。全体を書き直させず、指摘だけを出させます。

いま出ている課題ツリーを点検してください。

【点検する内容】
1. 実質的に同じことを言っている項目の組。どちらに寄せるかの案も出す
2. 上の分類に収まりきっていない項目
3. 原因ではなく結果を書いている項目。たとえば「魅力が伝わっていない」など
4. この切り口では視野に入らない原因。あれば別枠で挙げる

【条件】
・指摘は7点以内に絞り、影響の大きい順に並べる
・各指摘について、直した形を該当部分だけ書く
・ツリー全体を書き直さない

4番目で挙がるのは、求人票の外側にある原因です。媒体の選定、掲載の時期、社内の選考スピード、採用予定人数に対する予算。今回の範囲に入れるかは人が決め、外に置いたものも消さずに別の見出しで残します。

思いつきの原因と、確かめられる原因を分ける

ここまでに並んだのは、すべて可能性です。誰かに見せる前に仕分けます。

いま出ている原因の候補それぞれについて、確かめられるかを判定してください。

【出力】
表にしてください。列は次の5つです。
原因の候補 / 確かめる手段 / 使う資料や数字 /
結果がどうなっていれば原因として支持されるか / 確かめるのにかかる手間

【確かめる手段の区分】
A. ドライブや媒体レポートの数字で確かめられる
B. 求人票や規程の記載を読めば確かめられる
C. 社内の誰かに聞けば確かめられる。聞く相手も書く
D. 応募者側の事情なので、社内の資料では確かめられない

【条件】
・Dに分類したものを、無理にAやBに寄せない
・手間の列は、大中小の3段階と、その理由を一言で書く

区分Dに落ちる項目が、採用では必ず出ます。「同業他社の条件のほうがよい」「工事業界そのものを避けられている」といった話です。社内の資料では確かめられないので、候補者への聞き取りができるまで仮説の欄に置いたままにします。

区分Aはその場で集計させ、区分Bは求人票を並べて読みます。区分Cは聞く相手ごとにまとめ、1回の面談で聞ける形にしてから施工管理課に持ち込みます。こうして仕分けると、10個以上あった原因のうち、その週に白黒がつくのは3つか4つに絞られます。

求人票そのものの書き直し方は、求人票をAIで作成する方法にまとめています。

掘り下げをどこで止めるか

下に伸ばし続けると、いつまでも終わりません。止める目安を決めておきます。

ツリーの状態判断
その項目を直す担当者と、直す対象の文書名を書ける底。止める
直すのに他部署の合意が要る話に変わった止めて、別の枝として扱う
次に割ると「魅力がない」「知名度が低い」になるその手前で止める
確かめ方の欄が空のまま2階層続いている掘らずに、確かめ方を先に探す

3行目が採用では特に起きます。知名度や業界イメージに行き着いた枝は、四半期では動きません。ひとつ上に戻り、その状態を人事課の手で動かせる対象に言い換えられないかを試します。

いまの第3階層のうち、次の項目について確認します。

・会社の知名度が低い
・業界のイメージがよくない

これらを、人事課が次の四半期に手を出せる対象に言い換えてください。

【条件】
・1項目につき言い換えの案を3つ出す
・言い換えた結果が、誰が何を作れば着手できる状態になるかを1行で書く
・言い換えても人事課の手に負えないと判断した場合は、そう書いて理由を述べる

具体例2:Googleドキュメントの中でツリーを育て、Gmailで裏を取る

会話の中でツリーを扱うと、修正のたびに全体が出力し直され、どこが変わったのか追えなくなります。ツリーをGoogleドキュメントに書き出し、そのドキュメントの中のGeminiで枝ごとに直すと、本体が1つ残り、会議資料にそのまま育ちます。

移したあとは媒体担当者とのやりとりで裏を取ります。掲載条件の変更や受けていた助言が、ツリーの項目と食い違っていることがあります。

Gmailの中から、件名または本文に「施工管理」と「掲載」を含む
過去6か月のやりとりを確認してください。

次を整理してください。

1. 掲載条件を変更した日付と、変更の内容
2. 媒体の担当者から受けた助言と、それを当社が実施したかどうか。
   実施の有無がメールから読み取れない場合は「読み取れない」と書く
3. 当社側から伝えた要望と、それがどう処理されたか
4. このやりとりの内容と、先に作った課題ツリーの項目とが
   食い違っている箇所

個人名と連絡先は出力に含めないでください。

2番目で「助言を受けたが実施していない」項目が出ると、優先順位が変わります。外部から先に指摘されていたことは社内の合意も取りやすく、着手の候補になります。

職種を問わない課題整理の進め方は、課題整理をAIで行う方法にまとめています。

着手する1つを選ぶ評価軸を作る

確かめられた原因だけを対象に、次の四半期に打つ手を1つ決めます。ここでも採点をすぐ頼みません。

確かめられた原因だけを対象に、着手する1つを選ぶための評価軸を作ります。

【手順】
1. まず評価軸の候補を5つ出す。
   当社の状況に即した軸にし、一般的な言い方のままにしない
2. 各軸について、高い低いをどう判断するかの目安を書く
3. 私が軸を3つ選ぶまで、採点はしない

【軸に入れてほしい観点】
・人事課だけで動かせるか、施工管理課や経営の合意が要るか
・効果が数字に出るまでの期間
・次の掲載に間に合うか

3つ選んで採点を頼むと、上位に残るのは求人票の記載の直しと、選考の連絡を早める運用変更あたりです。給与水準の見直しは効果が大きく見えますが、経営の合意と人件費の枠が要るため四半期では動きません。人事課の手で終わる施策を先に選び、数字が動いたことを示してから大きいほうに進みます。

Geminiが出した原因を、事実として扱わないために

課題ツリーは体裁が整っているので、書かれている内容が調査結果のように読めます。社内に出す前に3つを踏みます。

項目ごとに出どころの印を残します。ドライブの資料で確認したもの、Gmailのやりとりで確認したもの、Geminiが一般論から補ったもの。3つ目が混ざったまま会議に出ると、その分析はどこから来たのかと聞かれて答えられません。

「未確認」と付いた項目は、施工管理課の課長に読んでもらいます。読ませるのは原因の一覧ではなく、確かめ方の一覧にします。「担当現場の範囲を関東一円と書いているが、実際はどこまでか」と聞くほうが、原因の当否を尋ねるより正確な答えが返ります。

資料にするときは、確かめた原因と仮説の原因を別のページに分けます。同じ表に混ぜると、読んだ人は全部が検証済みだと受け取ります。

同じ整理を他のツールで進める手順は、ChatGPTで課題を構造化する手順とClaudeで課題を構造化する手順にまとめています。

うまくいかないときの対処

切り口を頼んだのに原因の一覧が返る。 「この段階では原因を挙げないでください」を、頼むたびに書き添えてください。会話が長くなると前半の指示が薄れます。

資料を参照していないように見える。 ファイル名の指定が曖昧だと、読まずに一般論で答えます。ファイル名の一部を正確に書き、「参照したファイル名を最初に列挙してから答えてください」と加えてください。

数字が資料と合わない。 「その数字を出した元のセルの範囲と計算の手順を示してください」と聞き返し、自分で1つだけ検算します。

枝が増えて絞れない。 「今回の目的は次の四半期に打つ手を1つ決めることです。この目的に関係しない枝を外し、残す枝を6本以内にしてください」と範囲を狭めます。

どの原因も同じくらい重要に見える。 評価軸が一般的すぎます。重要度や緊急度を捨て、次の掲載に間に合うか、人事課だけで終わるかに直します。

まとめ

媒体の管理画面を開き、表示、閲覧、応募、面接、承諾の5つの数字を6か月分そろえるところから始めてください。そろったらGeminiにドライブの求人票と媒体レポートを読ませ、どの段で減っているかを特定し、その段だけを対象に切り口を3通り出させます。選んだ切り口で2階層だけ下ろし、各項目に確かめ方を書かせ、社内の資料で白黒がつくものから片付けます。残った原因に軸を3つ当てて採点し、次の掲載に間に合う1つを選びます。ツリーはGoogleドキュメントに置いておくと、次の募集のときに数字を入れ替えるだけで使い回せます。

よくある質問

Geminiはドライブの求人票や応募管理のスプレッドシートを読んで課題を整理できますか?

GoogleドライブやGmailとの連携が有効なアカウントでは、ファイル名や件名を指定して内容を参照させ、原因の切り分けに使えます。連携が使えない場合は、ファイルをアップロードし、メールの本文を貼り付ければ同じ手順で進められます。連携の可否は契約と管理者の設定で変わります。

Geminiが挙げた原因のうち、どれを信じてよいか分かりません。

原因を出させた直後に、それぞれをどの数字やどの記録で確かめられるかを書かせてください。確かめ方が書けるものだけが検証の対象になり、書けないものは仮説のまま保留にします。この仕分けをせずに一覧を共有すると、調べていないことが調査結果として扱われます。

候補者の名前や職務経歴をGeminiに入力してもよいですか?

自社の生成AI利用ルールに従ってください。原因の切り分けには個人を特定する情報は不要で、応募経路、応募日、選考の通過段階、辞退の理由の分類といった列だけで足ります。氏名や連絡先は削除するか記号に置き換え、入力してよい範囲を人事責任者と情報システム部門に先に確認してください。