Geminiで文章を校正する手順:ドキュメントの原稿を崩さず直す
この記事の要点
Geminiの文章校正は、Googleドキュメントの原稿を開いたまま修正候補を変更前と変更後の対で出させ、採用する分だけ自分で反映すると安全です。プレスリリースとお知らせ文を例に、引用や数値を触らせない指示と、表記ルールをGemに保存する方法を解説します。
結論
Geminiで文章を校正するなら、修正を文書に直接書き込ませず、修正候補を変更前と変更後の対で一覧にさせて、採用する分だけ自分の手で原稿に反映します。Googleドキュメントで書いた原稿は、開いたままの画面からGeminiに読ませられるので、コピーして貼る手間がかかりません。発表日や価格、代表者コメントといった事実と引用は、Geminiに触らせず人が確認します。
Geminiアプリでも、ドキュメントの画面から呼び出したGeminiでも、次のプロンプトがそのまま使えます。
この文章を、発表前の最終校正として確認してください。
見るのは次の4点だけです。
・誤字、脱字、変換ミス
・同じ語の表記ゆれ
・敬語の誤り
・文末の不統一。です・ます体の中に、だ・である体が混ざっていないか
次のものは変更しないでください。
・かぎかっこで囲まれた発言やコメントの中身
・数値、日付、曜日、価格、社名、人名、サービス名
・文の順番、段落の構成
出力は、修正候補の一覧だけにしてください。
1件ごとに「何段落目か / 変更前 / 変更後 / 理由」を1行で書いてください。
数値や日付に誤りの疑いがある場合は、直さずに「確認してほしい点」として最後にまとめてください。
修正後の全文は、私が頼むまで出さないでください。
文章:
ここに貼り付ける。ドキュメントを開いている場合はこの行を消す
全文を出させないのは、一覧を読まずに全文だけ貼り替えてしまうのを防ぐためです。800字前後のお知らせ文なら、一覧の確認と反映で5〜10分が目安です。
Geminiで校正する入口は2つ。どちらを使う?
Geminiには、ブラウザやスマートフォンで開くGeminiアプリと、GoogleドキュメントやGmailの画面の中から呼び出すGeminiがあります。校正での使い勝手はかなり違います。
| 比べる点 | Geminiアプリ | ドキュメントやGmailの中のGemini |
|---|---|---|
| 文章の渡し方 | 貼り付ける。ドライブの文書を指定して読ませることもできる | 開いている文書やメールをそのまま読ませる |
| 表記ルールの固定 | Gemに保存できる | ドライブにあるルールの文書を参照させる |
| 向いている場面 | 短いお知らせ文、表記ルールを固定した定常的な校正 | 長い原稿、複数人でレビュー中の原稿 |
| 注意点 | 貼り付けで書式や見出しの階層が落ちる | 使えるかどうかが契約と管理者の設定で変わる |
広報や総務で、プレスリリースやお知らせ文をGoogleドキュメントで書いている会社なら、ドキュメントの中のGeminiが手早く済みます。原稿を貼り付け直す作業がなく、見出しや箇条書きの構造を保ったまま読ませられるからです。呼び出しのボタンが表示されない場合は、契約や設定の対象外と考えられます。そのときはGeminiアプリに貼り付ける方法に切り替えます。
プランや時期によって使える機能が異なるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。
Geminiで文章を校正する手順
Googleドキュメントで書いたお知らせ文を例にします。Geminiアプリを使う場合は、手順2を「文章を貼り付けて送信する」に読み替えてください。
- 原稿に未公表の情報がどこまで含まれるかを確かめます。発表前のプレスリリースは、社外に出ていない情報そのものです。生成AIへの入力範囲を定めた社内ルールを確認し、会社が契約している環境で作業します。個人のアカウントに原稿を貼り付けるのは避けます。
- ドキュメントを開いてGeminiを呼び出し、結論の章のプロンプトを送ります。
- 修正候補の一覧を上から読み、採用するものに印をつけます。表記ゆれは、どちらに統一するかを自分で決めます。
- ドキュメントを提案モードに切り替え、採用する修正を自分で入力します。提案モードで入れた変更は履歴として残り、上長や他部署のレビュー担当が1件ずつ承認できます。
- 「確認してほしい点」に挙がった数値や日付を、決裁済みの資料やカレンダーと突き合わせます。
- 反映が済んだら、同じ画面で「表記ゆれが残っていないか、もう一度だけ確認してください」と頼み、残りがないことを確かめます。
手順4でGeminiに本文を書き換えさせず、自分で入力するのには理由があります。プレスリリースは法務や事業部など複数の目を通る文書です。誰がどこを変えたかが提案として残っていれば、レビューする人は変更箇所だけを見れば済みます。全文を貼り替えると履歴が1件の大きな変更になり、どこが変わったのかを全員が読み直すことになります。
リリースの本文を作る段階の進め方は、プレスリリースをAIで作る方法にまとめてあります。校正は、本文が固まったあとの最終工程として分けて行います。
校正前と校正後の例:新プラン開始のお知らせ文
自社サイトに掲載するお知らせ文の例です。急いで書くと、この程度の表記ゆれは簡単に紛れ込みます。
【校正前】
株式会社〇〇は、2026年10月1日より、法人向け勤怠管理サービス「△△」の新プランを提供開始致します。
新プランには、これまで対応していなかったシフト自動作成機能を追加しました。これにより、店舗責任者のシフト作成にかかる時間を削減する事ができる。
お申込みは、10月1日から弊社ウェブサイトにて受付ます。既存のお客さまは、管理画面からお申し込み頂けます。
サービスの詳細は、当社Webサイトをご覧下さい。
【校正後】
株式会社〇〇は、2026年10月1日より、法人向け勤怠管理サービス「△△」の新プランを提供開始いたします。
新プランには、これまで対応していなかったシフト自動作成機能を追加しました。これにより、店舗責任者のシフト作成にかかる時間を削減することができます。
お申し込みは、10月1日から当社Webサイトにて受け付けます。既存のお客さまは、管理画面からお申し込みいただけます。
サービスの詳細は、当社Webサイトをご覧ください。
Geminiが返す修正候補は、次のような一覧になります。
| 段落 | 変更前 | 変更後 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 提供開始致します | 提供開始いたします | 補助動詞はひらがな |
| 2 | 削減する事ができる | 削減することができます | 形式名詞はひらがな。文末がここだけである体 |
| 3 | お申込み | お申し込み | 同じ段落の「お申し込み」と表記ゆれ |
| 3 | 弊社ウェブサイト | 当社Webサイト | 4段落目の「当社Webサイト」と表記ゆれ |
| 3 | 受付ます | 受け付けます | 送り仮名の誤り |
| 3 | 頂けます | いただけます | 補助動詞はひらがな |
| 4 | ご覧下さい | ご覧ください | 補助動詞はひらがな |
表の4行目にある「弊社」と「当社」は、Geminiには混在していることしか分かりません。報道向けの文書ではへりくだらない「当社」を使う会社が多いものの、決めるのは自社のルールです。「ウェブサイト」と「Webサイト」も同様で、Geminiが出した変更後は候補の1つとして扱います。
確認してほしい点には、2か所ある10月1日の日付が挙がります。ここは決裁済みの資料と照らします。
Geminiに任せられる範囲と、人が見るべき範囲は?
プレスリリースやお知らせ文は、誤りがそのまま社外に出る文書です。校正の項目ごとに、Geminiの指摘を信用してよい度合いが違います。
| 校正の項目 | Geminiの指摘の扱い | 人が行うこと |
|---|---|---|
| 誤字・脱字・送り仮名 | ほぼそのまま採用できる | 採用前に一読する |
| 表記ゆれ | 混在の発見は任せられる | 統一先を決める |
| 敬語 | 二重敬語や取り違えの指摘は役立つ | 報道向け、顧客向けで丁寧さの水準を決める |
| 文末の統一 | 混在の発見は任せられる | 箇条書きや見出しの文末をどうするか決める |
| 日付と曜日の対応 | 誤ることがあるので信用しない | カレンダーで確かめる |
| 価格、数値、提供開始日 | 文書内の食い違いの指摘まで | 決裁済みの資料と突き合わせる |
| 社名、人名、役職、サービス名 | 判断できない | 正式表記を原本で確かめる |
| 代表者や顧客のコメント | 触らせない | 発言者本人の確認を取る |
日付と曜日の行は見落とされがちです。「10月1日、木曜日」のような表記が正しいかどうかを、Geminiはもっともらしく答えますが、計算を誤ることがあります。曜日の確認だけは、カレンダーを開いて済ませます。
引用コメントを触らせない理由も書いておきます。代表者のコメントは、本人または秘書の確認を経た文言です。てにをはを1つ整えただけでも、確認済みの文言ではなくなります。誤字の疑いがあっても、直すのではなく指摘にとどめさせ、発言者側に戻します。
文意を変えさせないために、どんな指示を足す?
結論の章のプロンプトで大半は防げます。それでも直しすぎが起きるときは、Geminiが「読みやすさ」を校正の一部と解釈しています。次のプロンプトは、修正の種類を字句の置き換えだけに縛るものです。
修正候補は、語句の置き換えだけに限定してください。
・1件の修正で変えてよいのは、連続した15字以内とします
・文を分ける、つなぐ、語順を入れ替える、文を足す、削る、は禁止です
・読みやすさや表現の改善は、今回は求めていません
15字を超える修正が必要だと考えた箇所は、修正案を書かずに、理由だけを「相談」として挙げてください。
字数の上限を数字で渡すと、Geminiは大きな書き換えを出しにくくなります。「相談」に挙がった箇所は、校正ではなく推敲の対象です。書いた本人が直すかどうかを決めます。
反映後の確認にも一手間かけます。提案モードで入れた修正は、承認されるまで1件ずつ提案として画面に残ります。一覧で採用した件数と、文書に残っている提案の件数が合っていれば、意図しない変更は入っていません。承認後に校正前の状態を見返したいときは、ドキュメントの版の履歴から以前の版を開けます。
表記ルールを毎回渡さずに済ませる方法は?
広報の文書には、会社ごとの決まりが多くあります。自社の呼び方、サービス名の正式表記、数字の全角と半角、日付の書き方、お客さまの表記。これを毎回プロンプトに書くのは現実的ではありません。Geminiでは2つのやり方があります。
Gemに表記ルールを保存する
Gemは、指示を保存して何度でも呼び出せるGeminiアプリの機能です。校正専用のGemを1つ作り、指示の欄に次を入れます。
あなたは当社広報の校正担当です。渡された文章を、下のルールで校正してください。
【表記ルール】
・自社は「当社」。「弊社」「私たち」は使わない
・サービス名は「△△」。かぎかっこをつけ、略称は使わない
・「お客さま」に統一。「お客様」「顧客」は使わない
・Webサイト、メール、ユーザー、サーバー。語尾の長音は省略しない
・数字は半角。日付は「2026年10月1日」の形で、年を省略しない
・補助動詞と形式名詞はひらがな。いたします、ください、こと、とき
【変更しないもの】
かぎかっこ内の発言、数値、日付、曜日、価格、社名、人名、役職
【出力】
修正候補の一覧のみ。1件ごとに「何段落目か / 変更前 / 変更後 / 理由」。
理由には、どの表記ルールに当たるかを書く。
数値や日付の確認点は最後にまとめる。全文は出さない。
保存後は、Gemを開いて文章を貼るだけで、同じルールの校正が返ります。部内で同じ指示文を共有しておけば、誰が校正しても指摘の基準がそろいます。
ドライブの表記ルール文書を参照させる
すでに表記ルールをGoogleドキュメントでまとめている会社は、その文書をそのまま使えます。ドキュメントの中のGeminiに、ルールの文書を指定して「この表記ルールに照らして、開いている原稿の表記を確認してください。ルールのどの項目に反しているかも書いてください」と頼みます。ルールが改訂されても文書は1つなので、Gemの指示を書き換える手間がありません。
ルールの文書が長い場合は、Geminiが後半の項目を見落とすことがあります。間違えやすい20〜30項目を冒頭にまとめた短い版を別に作ると、参照の精度が安定します。
Gmailで送るお知らせメールを送信前に校正するには?
取引先や会員に向けた一斉のお知らせメールは、送ったら取り消せません。Gmailの作成画面でGeminiを呼び出せる環境なら、下書きを開いたまま次のように頼みます。
このメールの下書きを、送信前の最終確認として見てください。
・誤字脱字、表記ゆれ、敬語の誤りを「変更前 / 変更後」の対で挙げる
・件名と本文で、日付や名称が食い違っていないか確認する
・宛名の敬称が抜けていないか確認する
本文は書き換えず、指摘だけを出してください。
件名と本文の食い違いは、人が読み返しても気づきにくい誤りです。件名では「10月1日開始」、本文では「10月2日より」となっているような矛盾は、Geminiが拾いやすい種類の指摘に当たります。どちらの日付が正しいかは、人が資料で確かめます。
校正がうまくいかないときの対処
修正候補ではなく、書き直した全文が返ってくることがあります。ドキュメントの中のGeminiは、文章の生成や書き直しを促す作りになっているため、校正の依頼も書き直しとして処理されがちです。「書き直しは不要です。修正候補の一覧だけを出してください」と1行目に置くと収まります。
長い原稿で後半の指摘が極端に少ないときは、後半が十分に読まれていません。「5段落目以降だけをもう一度確認してください」と範囲を区切って頼み直します。背景説明や会社概要を含む数ページのリリースは、前半と後半の2回に分けると漏れが減ります。
サービス名や人名を誤字として直されるのは、Geminiがその語を知らないためです。Gemの指示に正式表記を入れておくか、プロンプトに「次の語は正しい表記です」と書き添えます。
広報の業務全体の中で校正をどこに組み込むかは、広報の文章校正をAIで行う方法で扱っています。Wordで原稿を書いている会社には、Copilotで文章を校正する手順のほうが合います。社外メールや見積の送付文が中心なら、ChatGPTで文章を校正する手順に別の例を載せています。
まとめ
Geminiの校正は、修正候補の一覧を受け取り、採用する分だけを提案モードで自分の手で反映する形にすると、複数人のレビューに耐える履歴が残ります。引用コメントと数値は触らせず、曜日と日付は人がカレンダーで確かめます。
直近で公開したお知らせ文を1本、Googleドキュメントで開いて、結論の章のプロンプトをかけてみてください。公開済みの文書に修正候補が何件出るかを見ると、自社の原稿に紛れ込みやすい表記ゆれの傾向が分かります。その傾向を5〜10行の表記ルールとして書き出し、Gemに保存するところまで進めれば、次のリリースからは同じ基準で校正できます。
よくある質問
GeminiはGoogleドキュメントの文章を直接校正できますか?
Googleドキュメントの画面でGeminiを呼び出せる環境なら、開いている文書を読ませて誤字や表記ゆれを指摘させられます。使えるかどうかは契約しているプランや管理者の設定で変わるため、使えない場合はGeminiアプリに文章を貼り付けて校正します。
Geminiに校正させるとプレスリリースの内容が変わってしまいませんか?
範囲を指定しないと言い回しまで整えられることがあります。代表者コメントのかぎかっこ内、数値、日付、固有名詞は変えないと明記し、修正候補を変更前と変更後の対で出させて、採用するものだけを自分で反映すると防げます。
Geminiに自社の表記ルールを覚えさせる方法はありますか?
指示を保存して使い回せるGemに表記ルールと出力形式を入れておく方法と、ルールをまとめたGoogleドキュメントをドライブに置いて校正のたびに参照させる方法があります。どちらもプランや時期で使える範囲が異なるため、公式情報で確認してください。